●「パパは脳研究者」 池谷裕二著 クレヨンハウス 17年版 1600円
著者の長女が産まれた時から、4歳までの成長の記録を脳科学で解明した本。脳神経細胞は、「年とともに死滅する」と言われてきたけれど、それは嘘。実は3歳までに７割が消滅し、その後は残った3割で亡くなるまでを過ごすのだ。だから「3つ子の魂100まで」は、ある意味本当だということ。
ところで赤ん坊の脳は、「見たものを写真のように記憶する」のだ。これは、他の犬などの動物もそうで、同じものを横からみせると「同じもの」と認識できないとのこと。ところが人間の脳は、１歳１カ月を過ぎると、例えば愛犬・ボウルが他の大勢の犬と同じ「ワンワン」だと気づき始める。これは、人間の脳の柔軟性＝適当だからこそ出来るもので、「ワンワン」という言葉を獲得していくためには、こうした曖昧さやいい加減さが重要であること。でないと、「カテゴリー」という概念を理解することが出来ないのだ。
本書のなかで著者は、幼児の早期教育を「意味がない」と否定している。人はみな個性的で、差があって当然。成長の流れを頭に入れつつ、おおらかな目で見守る姿勢こそ大切だとしている。
例えば、「才能を育てる」ために必要なのは、習い事より「よい経験をさせる」こと。恐竜の図鑑を見せたら、博物館に足を運んで化石の実物を見せたり、プールだけではなく、森林の渓流で水浴びさせたり、デジタル視聴だけでなく、本物の舞台や演奏、美術作品に触れさせたり、などなど・・・。
著者の家庭教育は一貫して、�（�事の本質や規則を見抜く「理解力」、�∪茲鮓�越して準備する「対処力」、�Ｌね茲亮�分に投資する「忍耐力」を養うことに気を使っている。それがどんな内容かは、本書でお確かめ下さい。
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