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2018年07月27日12:48

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読書紹介1746●「工学部ヒラノ教授と4人の秘書たち 3」

●「工学部ヒラノ教授と4人の秘書たち 3」 今野浩著 技術評論社 12年版 1480円
 筑波大で8年間助教授だったヒラノ青年が、教育50・雑務50で研究がまったくできなかった(研究費もなかった)にも関わらず、東工大の教授に迎え入れられたのは、工学部出身ながら金融工学(ファイナンス)という文系に近い教授職に就いたからである。
 工学部なら研究論文の数がなければ教授になれなかったが、文系だから研究論文だけではなく、ヒラノ青年がこれまで出した4冊の著作が「教授の資格あり」とされたのだ。ヒラノ教授の専門は、数学・情報科学(コンピュウター・サイエンスのソフト・アプリケーション)であった。折しも金融工学は世界中で脚光を浴び始め、ヒラノ教授は宝くじ(研究費獲得競争)に当たったのだ。
 ということで、ここで初めて秘書を雇うことができたのだが、これが一筋縄ではいかなかった。1人目の秘書こと「六本木秘書」は東工大1の美女で、研究室に用も無いのに男どもが押し寄せる始末。仕事も、週3回の約束が平均で週2回しか来なかった。後でわかったことは、恋人とのデートを優先してすっぽかしていたのだ。
 寿退社した六本木秘書の後の、2人目の秘書は「ミセスK」。成城生まれの社長令嬢で、゛ラテン系゜の成城マダムであった。ミセスKとはその後、途中で辞められるが再び返り咲いてくれて30年以上にわたっの付き合いとなるのだ。その他「ブルトーザー秘書」など、本書では秘書や事務官たちの奮闘に支えられて、日本のエンジニアが輝かしい業績をあげられたことが書かれていた。
 ところで政府が、「年間1800時間労働」をキャンペーンする中で、筑波大時代は3500時間を「教育・雑務マシーン」として。東工大時代は、3600時間を「研究50・教育25・雑務25」。つまり、研究1800時間を確保することができたのだ。なんとエンジニアという種族はモーレツ仕事人間であることか。それに付いて来てくれた秘書の奮闘も押して知るべき、でありました。

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