●「小説 外務省�供次識∨撤牡�く中東」 孫崎享著 現代書館 16年版 1600円
本書の主人公・西京寺は、尖閣問題で中国と日本に「棚上げ」の合意があったと外部で発言したことから、外務省本省からイラン大使館へと左遷させられる。�挟�の舞台は、イランのテヘランである。
ここでは、1979年のイスラム革命の舞台裏として、�（胴颪�イラン国王を追放する方向に動いた、�∧胴颪魯曠瓮ぅ鵑犯鷂�式なチャンネルを開き、「イラン軍部は国王追い落とし運動の弾圧に参画しない」と約束、��なぜ米国が国王を見放したかとして、イ）国王は石油価格の高騰を目指し、石油政策で独自路線を歩み始めた、ロ）カータ大統領は、米国と協力関係にあった独裁者を排除する方向に舵を切替えた、ハ）米国は中東にイスラム勢力の拡大を望んだことが描かれる。更に、「イスラム国」登場による中東情勢の変化や核合意について、米・イランの駆け引きの内幕が描かれる。
さて�挟�の圧巻は、「イスラム国」の日本人拘束殺人事件である。2014年に湯川氏が、次いで後藤氏が拘束された。直後の2015年1月、安倍首相が中東を訪問し、「イスラム国」と戦う周辺各国に総額2億ドルの支援を約束。これによって、身代金の額が2億ドルに跳ね上がった。麻生財務相が「身代金は払わない、テロには屈しない」と発言。つまり、米国務省報道官の「テロとの交渉はしない」との発言に応える形で、「日本政府は、日本国民に責任を負う政策を行っているのではなく、米国に責任を負う政策をやっている」とのアピールをしたのだ。
本書を読むと、米国の国際的陰謀の数々（例・ウクライナ問題）がありありとわかってくる。米国内の勢力図の変動に世界がふりまわされていること。それに対し、日本政府が忠犬のように従っている姿を、様々な資料によって明らかにしているのでありました。
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