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2018年03月04日12:16

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読書紹介1709・「発酵文化人類学ーー微生物から見た社会のカタチ」 

●「発酵文化人類学ーー微生物から見た社会のカタチ」 小倉ヒラク著 木楽舎 
17年版 1600円
 この地球上の生命体で、1番多いのは微生物=菌である。もはや微生物なしには、
地球自体がなりたっていかない(生命体の死骸を土に還してくれるなど)ほどであ
る。本書は、その微生物の中の「発酵菌」をとりあげ、それと人類との関係を紐解い
てくれた本。
 微生物は、地球における全ての生態系の基礎となっていること。この基礎の上に、
人間の営みが乗っかっていること。何かを食べて腸で分解することも、呼吸をしてエ
ネルギーをつくり出すことも、アルコールを分解して2日酔いを治すのも、全て微生
物が発明した仕組みを借りたものであること。
 人類が他人とつながってコミュニティーをつくり、色んなものを交換することで関
係性を生み出していくのも、微生物たちの世界で起こることの相似系(微生物がやっ
ていることの反映として、人類もやっている)なのだ。
 古代人(いわゆる「未開人」)は、贈与経済(無条件に贈り物をする)によって交
換の環をつくってきた。これは、商品交換のような1体1の関係ではなく、最低3人
の三角関係の循環をつくりだす。共同体や他の部族との交換(コミュニティー作り)
によって、その循環は限りなく円となり、衝突や争いが回避されていくため編み出さ
れた経済なのだ。
 そんな人間関係を、微生物から学ぶことができたのも、本書からの収獲であった。
「奥さんと仲良くしよう」なんてネ。

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