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2018年02月25日12:50

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読書紹介1708・「虎山に入る」

●「虎山に入る」 中沢新一著 角川書店 17年版 1800円
 本書で、著者が大学で専攻を生物学から宗教学に変更したこと。宗教学のフィールドワークをやるうえで、文化人類学の手法を援用したこと。チベット仏教を学ぶためネパールに行ったこと。山口昌男(文化人類学者・記号論学者)に導かれて、学界に身を置くようになったことなど、その当時の学者たちの動向を含めて日本の精神史の一端を知ることができた。
 そして最新の哲学的思考として、3.11の経験を経て「エネルゴロジー」という学説を紹介している。エネルギーについて、地球上で起こるエネルギーの変換や代謝のプロセスと人間との関わりを明らかにしながら、エネルギーを数量化することはできても、それに関わる人間の心は数量化できないこと。そのエネルギーと人間の心の相互関係を探る学問が「エネルゴロジー」だとしている。
 人類の心/脳の特殊性の問題を、生産力と生産関係の弁証法的展開に組込まないことには、現実の人間の世界のことはわからない。だから、「エネルゴロジー」という学問の探究が必要なことを、人類が火を得てから原発に至るまでの歴史をふりかえって論じていたのでありました。
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