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2018年02月12日17:47

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読書紹介1706・「ミレニアム5 上・下」 

●「ミレニアム5 上・下」 ダヴィド・ラーゲルクランツ著 早川書房 17年版 各1500円
 5巻は、女性や子供に対する暴力を憎むリスベットが、バングラデシュの女性を暴力から救うために立ちあがることと、リスベットの幼少期の秘密が明らかにされていくパターンですすめられる。
 今回、イスラム原理主義による女性抑圧の現状がとりあげられるとともに、スウェーデンの旧国立人種生物学研究所がおこなった、「人種優生学」というナチスがおこなっていた研究で、双子の幼児を環境のまったく違う所に里子に出すという実験を取り上げている。
 リスベットも幼少期にこの実験材料にされていたのだが、里子を拒否して家出していた。5巻では、マイノリティーのロマの双子が主要なテーマで登場する。裕福な家に里子に出されて子が、大人になり養親の跡を継いで証券会社の共同経営者となった。その彼が講演会で、金融システムの脆弱性を指摘する。「金融市場も宗教も、人がそれを信じることによって成り立っている。どちらも疑いだしたら崩れてしまう」「何よりも危険なのは、深刻な疑念が根を張ること。そして生まれる恐怖心が、株を暴落させ、世界を不況に陥れる」、というトピックスが巧みに組み込まれているのだ。
 リスベットは、自分を実験材料にし暴力と拘禁という幼少期に突き落した研究所の研究者たちの罪(リスベットの恩人を殺害している)を暴き、復讐を果たす決意を固めるのだ。そんな中、リスベットは誘拐されナイフで刺される。サスペンスとスリリングな展開が、5巻の見物となっているのでありました。

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