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2018年02月12日17:43

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読書紹介1704・「呉漢 上・下」

●「呉漢 上・下」 宮城谷昌光著 中央公論新社 17年版 各1700円
 本書のテーマは、「人が出会うということは、ふしぎな力を産むことがある」というもの。久しぶりの中国物でワクワクした。呉漢とは人名で、後漢(紀元25〜220年)を興した劉秀の軍事の最高責任者となった人物である。
 本書では、前漢(紀元前202〜紀元8年)を滅ぼした王莽の時代に、貧しい農家の次男であった呉漢が、毎日、土だけを見つめて農作業する姿から始まる。自家の作業では暮らしていけないので、豪族の農地の賃労働を行い、懸命に働いていた。その姿を見た秀才(長安に留学していた)が、呉漢に興味を持ったことから、彼の運命が開かれていく。
 呉漢の叡智は、すべて土から学んだものだ。やがて、豪族の農地の副農業長に指名された呉漢は、若者たちを1人前の農民にすること、不作の年なのに収獲をあげたことから一目おかれるようになる。ということで、次々に「人との出会い」の中で呉漢は成長していくこととなる。
 漢王朝(前漢のこと)が王莽によって崩壊。その動乱の中で、呉漢は小さな集団を率いて劉秀のもとに馳せ参じる。劉秀も農事に携わった人で、呉漢と同じ思考回路を持っていた。その劉秀に出会ったことが、呉漢の運命を劇的に変貌させていく。
 無学な呉漢でも、これまでの「人との出会い」で、「志(こころざし)」ーーとてもできるはずがないと他人に嗤われてこそ、ほんとうの志ーー というものを教えられたことが、呉漢の雄姿へとつながるのだ。
 振り返って、自分には「ほんとうの志」は持っていなかったと反省した。今からでも遅くない、「ほんとうの志」を持ちたいと思った。

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