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2018年01月31日12:32

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読書紹介1702・「お世話され上手」

●「お世話され上手」 釈徹宗著 ミシマ社 1600円
 現代人の「人の世話にならない」ように思う心を、著者は「傲慢」だと批判する。それは、人間とはそもそも「人と人との関係」でなりたつもので、人の世話にならずに生きることはできないからである。そこで、どうせ世話になるのなら、「お世話され上手」になろう、というのが本書のテーマ。お世話され上手の人の共通点は、「こだわりのなさ」をあげている。「こうでなければ許さん」という雰囲気のない人である。
 本書は、大阪の田舎のお寺(釈氏が住職)の隣りの、築百年の民家が空き家となったので、そこにグループホーム(認知症高齢者の)「むつみ庵」を開業した経験を語った本。むつみ庵は、「古民家改修型」「村落タイプの檀家制度を活用」という特徴をもっている。むつみ庵のスタッフは、主に経験ある檀家の皆が務めている。
 古民家をそのまま使っているので、段差があり階段は狭く急である。家の中心に仏壇があったりと、普通のグループホームでは考えられない不便な施設。ところが、これが利用者にはメンタル面で様々な効用があったのである。広い庭に畑を作って作業する人がでたり、仏壇を毎日拝んだり、段差に注意して歩いたりと、自宅にいる時の感覚で過ごせるのだ。スタッフも、自宅で自分の祖父母を介護している感覚で、愛情を持って接せられることからストレスも少なくすんでいる。
 それでも長く続けていると、「偏り」が生まれる。それを釈氏は、仏法(浄土真宗)を鏡にして修正する。スタッフと利用者が近すぎるのを修正するため、敬称で呼び合う(少し時間がたつと元に戻ってしまったが、それも良しとしている)ことをしたりしている。
 そんな経験の中で、釈氏の幼かった日々のお寺の様子や仏法のことが語られるのだ。我が身を振り返って、自分が「こだわり」があり過ぎると反省させられた。世話をしたり、お世話になったりがスムーズに行くような生き方を志たいと思ったのでした。

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