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2018年01月28日11:43

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読書紹介1700・「ユダヤ人の贈り物ーー文明をつくりだした砂漠の遊牧民」

●「ユダヤ人の贈り物ーー文明をつくりだした砂漠の遊牧民」 トマス・ケイヒル著 青土社 99年版 2600円
 「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いに、明快な答えを言える人は少ない。シュメールの昔から、ハンムラビ法典(前1700年頃)でも同害復讐法(目には目を・・・)は掟だった。日本では「仇討ち」は武士の掟で、奨励されていた。それが禁止されるのは、明治に入ってからである。それを最初に変えたのは、モーゼの十戎(前1500年代)の「汝殺すなかれ」である。本書は、旧約聖書の世界(前2000〜0年)をバイブルを通して描いてている。
 シュメール人は前3500年代に楔形文字を発明し、セム語族(アラビア人、エチオピア人、ユダヤ人が含まれる)はアルファベットを発明した。一説では、文字の発明がその後人間に「時間(歴史)」感覚を与え、「心」を生じさせたと云う。
 ユダヤ人の始祖アブラハム(前2000年初頭)以前の社会は、「繰り返される循環状の動き」とみられていた。季節のように、たえず繰り返されるようなものである。アブラハムはそんな社会を脱し、自分の未来は自分で切り開く道へ踏み出すのだ(神の声を聞いて)。ここに、歴史や系譜(アブラハムとその子孫の)という概念が人類に与えられるのだ。
 本書では、ユダヤ人が西欧社会に与えたものとして、「新しい、冒険、おどろき、独自、個々の、人柄、信仰、希望、正義」があるとしている。ユダヤ人は、一神教の神とともに「心の中の生き方」というものを明らかにし、個人というものを立ち上げたのだ。
 わたしには一神教は害悪としか感じられないが、世界は一神教に満ち満ちている。それを知らずに過ごすことは、どうやらできないことのようだ。

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