●「養老孟司ガクモンの壁」 養老孟司著 日経ビジネス人文庫 03年版 648円
本書は、14人の若手の研究者との対談集である。全体を通じてのテーマは、「脳」であった。近年の脳科学の大きな進展に伴い、本書ではあらゆる角度からの脳の不思議が語られている。
第1部「人はどこからきたか」では、ネアンデルタール人の脳と現生人類の脳の違いについてが印象的であった。
第2部では、視覚・聴覚・嗅覚を司る脳の部位(固定したものではない)の機能を、動物(嗅覚ではナメクジ)を使った実験結果が生々しい。
第3部は「こころ」とは何かが探られている。脳の画像化によって、「こころ」を見られるようになった。ここでは、「ことば」の習得、自我、記憶、トラウマ、超常現象と脳の関係が語られるのだ。
本書は、まるで「知の博物館」のような本で、とても魅力的でした。
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