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2017年08月31日11:55

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読書紹介1663・「秋山善吉工務店」

●「秋山善吉工務店」 中山七里著 光文社 17年版 1500円
 秋山太一と雅彦の兄弟と母・景子は、アパートを火事で追われ、焼死した夫・史親の実家である秋山善吉工務店に転がり込んだ。
 ということで本書では、小学生の太一が学校でイジメに会い、それをどう克服したか。中学生の雅彦が、その腕っ節で番長たちを叩きのめした結果、悪い仲間に引き摺り込まれたのを、80歳の善吉がどのように引き戻したか。アパレル会社にアルバイトに就いた景子が、正社員になろうとしてクレーマ客に金を巻き上げられるに至ったものを、善吉の妻・春江がクレーマ退治に使った手とは、ということが描かれていく。
 最後に、史親を焼死させた火事を「放火」と疑い、史親がDVを雅彦や景子にふるっていたことから執拗に景子を追及する刑事と、その前に立ち塞がる善吉の姿が印象的である。
 著者は、昭和生まれの短気で頑固だが侠気があり智恵深く、なにより人としての大きさのある善吉の姿を描くことで、昭和の価値観に対する称賛の念を惜しまない。かって、このような男たちが日本にはいたのだ、ということを憧憬をもって描いた本なのでありました。

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