●「江戸の崖 東京の崖」 芳賀ひらく著 講談社 12年版 1800円
本書のテーマは崖。東京の崖は、関東ローム層が皮膜として降り積もった、極めて脆い層であることを初めて知った。従って、東京には「土砂災害危険箇所」が592ヵ所(平成21年度)もあるのだ。最大の区は港区(私の誕生地)で、118ヵ所。中央、墨田、江東、足立、葛飾、江戸川区は、埋立地なのでゼロヵ所である。
本書は11章あり、その内の私がよく知っている麻布(私の前の本籍地)、御茶ノ水(現在の通勤の下車駅)、江戸城(10代の時に、散歩で外周をよく回っていた)、神田山(御茶ノ水駅から職場までの通り道)、愛宕山(子供の時の遊び場で、出身中学・高校の傍)の章は、地形のことも熟知していたので、夢中で読む(デジタル地図を含めて)ことができた。
本書は、縄文時代の温暖化(前6500〜6000年)による海進のピーク時期の海食により、現在の崖(海食崖)ができたことから始まって、それが江戸期に大々的に人工の手が加わって改変させられていった歴史が、一望できた本であった。とても面白い本でした。
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