●「日本人になりたいヨーロッパ人」 片野優or須貝典子著 宝島社 14年版 1200円
本書では、日本との関係でヨーロッパ27ヵ国のことを描いている。セルビア・ボスニア・マケドニア・クロアチア・モンテネグロなどの東欧と、リトアニア・フィンランド・ノルウェー・デンマークなどの北欧のことなどは、国のこと自体を余り知らなかったので、本書で知れて良かったと思った。
ポーランド編では、1918年の独立以前に、独立を企てて失敗した革命家がシベリアに流されていたこと。ロシア革命の混乱のなかで、これらの政治犯とその家族や難民10数万人がシベリアに取り残されたこと。せめて子どもだけでも救出して、祖国に送り届けられないかとの頼みを日本政府が聞き入れ、756人の子どもが送り届けられたことと、その後の子どもたちの運命に感銘を受けた。
またオランダ編では、340年間も良好だった2国間の関係が、旧日本軍のインドネシア侵攻で、インドネシアを植民地としていたオランダの軍人4万人と民間人9万人が抑留所に収容されたこと。オランダ人女性が慰安婦にされたこと。これらの屈辱により、反日感情が芽生えたこと。この反日感情は、1971年の昭和天皇のオランダ訪問時に、市民から生卵を投げつけられるという手荒な歓迎を受けたことにも現れたこと。
この反日感情がやわらいだのは、2000年の平成天皇・皇后のオランダ訪問時で、平成天皇・皇后がまず行ったことは、オランダの戦没者記念碑の前で献花し、1分間にもわたって身じろぎもせず真摯に黙祷を捧げたことだった。そのニュースを見たオランダ人は、胸を熱くし涙を浮かべたというのだ。平成天皇・皇后の真摯な姿が、オランダ人にも伝わったのだと思ったのでした。
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