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2017年04月11日11:08

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読書紹介1626・「シークレット・ヒストリー 上」

●「シークレット・ヒストリー 上」 ドナ・タート著 扶桑社 94年版 640円
 本書は、90年代初めのアメリカ東部の大学の6人の学生の物語である。主人公A(20)は、西部の大学で2年間ギリシャ語を勉強し、親の反対を押し切って西部の大学に転校(奨学金を獲得して)。そこのギリシャ語クラス(担当教授が外部との接触をいっさい断つことを要求。私塾のようなクラス)に5人の学友がいたのだ。
 B(22)は語学の天才で、クラスの学問の中心人物で、親から潤沢な支送りを受けている。C(21)は、大学の近郊の田舎にばかでかい屋敷を持つお坊ちゃん。DとEは双子の兄妹(20)で、お金に不自由している。F(24)は、子供の頃「失語症」(そのため小中で2年も留年している)にかかっていて、精神が不安定であった。彼は、親から大学入学まではお金を出してもらったが、以後は支送りがなかった。
 ということで、夢のような大学生活が始まったのだ。ところがAは、自分の家が貧乏であることを隠し嘘をついたことから、次々と困難に直面する羽目となる。それは、Fがこのクラス全員にたかっていて恥を知らない人物だったからである。AもFにたかられ、金を持っていないことを知られて以来、ことあるごとに学生皆の前でAがついた嘘を暴きたてるからであった。
 そこに、おぞましい事件が起きる。B〜Fの5人が、古代ギリシャの「バッコス祭」を再現するため森に入り、酒・麻薬・薬をやって神秘の儀式をやっていて、地元の農夫を酩酊状態の内に誤って殺してしまったのである。Fだけは直前に、儀式が嫌になって離脱していた。それ以来Fは、クラスの仲間が自分を仲間外れにしていると感じ、やがて農夫殺しに気が付くのだ。
 ここからFのたかりは度を越していき、ついにAに農夫殺しの真相を喋って(ということは、次に恋人にも)しまうのだ。ここに、Bを中心にして「F殺し」の計画が練られていくことに。それにAも加わることになって・・・。
 上巻では、Fが「殺されても当たり前」と思わせる描写がみごとでありました。

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