●「貸し物屋お庸ーー江戸娘、店主となる」 平谷美樹著 白泉社 15年版 690円
時代は元禄7年。江戸神田大工町の大工の棟梁・儀助の長女お庸は、活きのいい大工に囲まれて自分のことを「おいら」と呼ぶ口の悪い娘(15歳)であった。そのお庸の家が兇賊に襲われ、両親が殺され自分は背中に刀を浴びて瀕死の重傷を負うことに。
元気になったお庸は、両親の仇討ちのため「無いものなない」という貸し物屋・湊屋を訪れ、「力を貸して欲しい」と申しこむ。損料は自分の身体であった。ところで、湊屋の主・清五郎をお庸はまともに見ることが出来ない。胸が高鳴ってどうしようもないのだ。色気がこれっぽっちもないお庸だったが、唯一清五郎の前では女になってしまうのだった。
ということで、前代未聞の「力を貸せ」という依頼にも、清五郎は「いいよ」と応じるのであった。こうして、湊屋の力で兇族のアジトが見つけられ、仇討ちを果たすことに。その損料の支払いとして、お庸には湊屋の新しい出店を任されることに。それは、世間知らずのお庸に、世間を知らせる修業でもあったのだ。
本書では江戸時代の貸し物屋という商売が、どんな事情で成立していたのかを詳しく紹介されていて、面白かった。本書はシリーズ物らしく、シリーズ2〜3と速く読みたいと思ったのでありました。
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