読書紹介1512・「幻想神空海」

●「幻想神空海」　夢枕獏著　マガジンハウス　14年版　1500円
　先日、成田山新勝寺に取材に行って、空海と真言密教について少し記事にした関係で、本書を目にしたので読んだ本。本の後半は、夢枕と宮崎信也氏（高野山真言宗・般若院住職）の対談で、空海のとんでもない能力・力技が明らかにされている。
　空海は、日本で初めて「宇宙とは何か」ということを探求した人物で、外国に行って「渡り合って」きた、日本人でも数少ない人物の1人だったとも。いやー!　本書を一読しても空海を惚れ惚れと見直してしまった。何とも凄い、としかいいようがないのだ。
　なお宮崎氏の、−−空海が言っている「一切智智」について、これは一切の知恵を持っている時の「知恵」は「意志」だというんです。だから、行動しないと意味がない。一切を知ったとしても何もしなかったら、その知恵は一切意味がないーーという言葉には胸をつかれた。空海自身はそれこそ、1つの計画を持って行動し尽くした生涯を送った人であったのだ。