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2016年03月21日09:08

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読書紹介1511・「大東京三十五区ーー夭都七事件」

●「大東京三十五区ーー夭都七事件」 物集高音著 祥伝社 02年版 1800円
 昭和7年、早稲田の不良書生にして雑誌の種取り記者・阿閉万(27歳)が出版した「新聞集成 明治怪事件録」が大当たりした。早速、2匹目の泥鰌を狙った万だったが、肝心のオチが書けない。これまでのオチは、全て下宿館の大家・玄翁先生に解き明かしてもらったものだったが、その玄翁先生がいないのだ。
 今回は、新聞に出ていた明治怪事件だけでなく、万の恩師・早稲田の鏑木博士も登場する。鏑木博士も玄翁先生と同じで、現場を見ることなく、研究室に坐ったまま事件を解いてしまう能力の持ち主であった。この先生、学術雑誌「変態心裏」を主筆していて、万をご用聞きがわりに雇っていたのだ。博士は、「脳髄(みそ)のつまった肉団子(まんじゅう)」と恐れられる博識だが、その体格ゆえに、お邸と大学までの往復以外、出歩かないのであった。
 ということで、明治・大正・昭和初期の東京で起こった猟奇の謎・周到な罠を、仰天の推理で玄翁先生と鏑木博士が解いてみせるというミステリーが本書。昭和初期の世相や風俗がわかる小説でありました。

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