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2016年03月10日14:35

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読書紹介1509・「呪海」

●「呪海」 平谷美樹著 光文社 02年版 848円
 聖天神社怪異縁起シリーズ1。今回の舞台は、岩手県下津町神嶋地区の神嶋神社。この神社は、人形供養で有名。しかしこの神社には、地形的な秘密があった。三陸沿岸の神嶋湾を地区内に取り込んでいることから、この湾に黒潮・親潮・津軽暖流が侵入してくるのだ。その関係で、全国の神社で行われる「形式を川に流し穢れを浄化させる行為」の儀式化によって、全国の穢れが海流によって神嶋湾に集められていたのであった。
 古代、大和朝廷に滅ぼされた蝦夷は、この集められた穢れを使って「復讐のシステム」につくりあげた。それは、100年間で数十万体となった形式を式神の兵士に仕立てて大和朝廷に反撃するというものだった。しかし、システムに欠陥があり今日まで作動することはなかった。その代わり、地震や津波が襲ってきて多くの住民が犠牲になったのだ。
 この神嶋神社の100年に1度の大祭(秘祭)に、聖天弓弦が神職見習いとして手伝いに来ることに。そこで弓弦は、大祭の恐るべき力を目の当たりにする・・・。という物語。人形に人格が憑依するというホラー小説だが、この人形が少しも怖くない。ホラーとしてはイマイチだが、伝奇小説としては面白い本でした。

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