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2016年03月07日09:59

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読書紹介1508・「剣客相談人ーー長屋の殿様 文史郎」

●「剣客相談人ーー長屋の殿様 文史郎」 森詠著 二見書房 10年版 648円
 下野国の那須川藩の藩主・若月丹波守清胤は、松平家から若月家に養子となり藩主となった。1万8千石の那須川藩は、財政が逼迫していた。それを立て直すべく、抜本的で徹底的な藩政改革を行った結果、下に厚く上に薄い改革に不満を募らせた藩の重臣たちと若月家直系である奥方の不興を買って、清胤は隠居させられてしまう。清胤32歳であった。
 下屋敷で退屈で死にそうになっていた清胤は、松平家より自分の守役であった爺の左衛門と共に、下屋敷を出奔し江戸下町の長屋(3畳1間)に引越した。持っていた金は3両しかなかったので、仕事探しのため口入屋に行った清胤(名を改め「大館文史郎」)は、店主に殿様然とした人相骨格を認められ「剣客相談人」になれと勧められる。裕福な商人や大名、僧侶などからの相談事を受け、依頼事を解決する仕事だった。
 ということで、本書では3件の依頼を解決する。「姫君の涙」はお家騒動の話。「恋時雨れ」は、冨商人の妾が何者かに狙われている案件。「辻斬り哀話」は、辻斬り犯人の藩の重臣から、犯人(藩主)を懲らしめてほしいとの依頼。文史郎の、松平家時代の伝手を使いながら、事の解決に奮闘する人情噺。ほのぼのとした物語でありました。

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