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2016年02月18日13:57

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読書紹介1499・「完盗オンサイト」

●「完盗オンサイト」 玖村まゆみ著 講談社 11年版 1500円
 主人公の水沢浹(とおる)21歳、クライマーである。傷心を抱えて、カルフォルニアから日本に帰ってきた。ほぼ無一文で、宿もなく公園の奥の水道をくんで湯を沸かそうと思ったところ、巨岩のような男から注意を受けた。「火を使うな」というのだ。ここで浹は、吐き気をもよおし倒れてしまう。
 気がつくと、寺の部屋で寝かされていた。公園だと思った所はお寺で、ヤクザだと思った男は住職だった。寺には、住職の岩代と4歳の斑鳩(いかる)がいた。斑鳩は、岩代以外には心を閉ざしているばかりか、発語すら出来ない子であった。
 寺の居候となった浹は、岩代の勧めで工事現場の作業員となった。昼休み、皆が居なくなった現場の鉄骨をクライマーの訓練でよじ登っているところを、親会社の大企業・國生地所の社長・國生環に見られてしまう。翌日、浹のクビと浹が働いていた下請け会社の請負契約が白紙にされてしまったのだ。
 そんな浹に、環が近づいて来た。「やって貰いたいことがある」というのだ。浹は、「請負契約を元に戻す」ことを条件に承諾する。環の頼みとは、國生地所の会長で環の兄の肇(病気でストレッチャー生活)の要望で、皇居の中心にある大道盆栽仕立場にある樹齢550年の<三大将軍>を盗み出すことであった。
 ということで、<三大将軍>完盗作戦と、斑鳩の本当の父(DV男)とのこと、浹の元恋人・葉月(プロクライマー・28歳)とのことが絡み合って物語は進んでいく。果たして<三大将軍>奪取は成功するのか・・・。という物語。クライマーの技術と魅力が、余すところなく描かれた小説でありました。

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