●「突欲死すーー風の王国７」 平谷美樹著 角川春樹事務所 13年版 724円
７巻は、突欲のことがほぼ史書どおりに描かれている。東丹国の王として、旧渤海の首都・上京龍泉府にいた突欲は、契丹皇帝・堯骨に「遼東の遼陽城（遼東半島北部）に遷都せよ」との命令を受ける。南部のつがる府との戦いの前面に立て、ということである。
ところが、軍を率いてつがる府の城に攻め込んだとたんに、堯骨からさらなる命令が届いた。謀反の疑いで「隠棲せよ」と。こうして突欲は、遼東の地を離れ隠棲地で書画と詩作のみの生活を送るようになる。その傍らには、麗津の大氏の妹・芳蘭（側室）とその子・隆先がいた。突欲の方術の力は、子の隆先に吸い取られ消滅しつつあったのだ。そんな突欲に同情したのが唐（後唐）の皇帝・李嗣源で、唐への亡命をすすめる。こうして、突欲たちは唐へと亡命したのであった。
突欲の居なくなった上京龍泉府では、高元譲（明秀の父母の仇）が起って高氏渤海国が興る。旧渤海の各府は互いに領土の分捕り合戦を行い、�〔製┐燭舛弔�る府と同盟する南海府（南渤海）、��旧渤海の豪族・烈力華が率いる定安国、�９盪痾潦す颪箸い�三つ巴の体制となった。東丹国となった旧渤海の府も南海府が奪い、東丹国は遼東半島北部に退いていた。
そんなとき、李嗣源が死んだ。その後継を、娘婿の石敬塘と養子の李従珂が争そった。石敬塘はこの日のことを想定し、突欲に堯骨への取次ぎを頼んでいた。石敬塘は堯骨と、「兵を出してもらう代わりに、燕雲（今の北京近辺）を割譲する」という密約を交わしていたのだ。こうして石敬塘は、李従珂に勝利し晋（後晋）の皇帝となる。ここに李従珂の刺客が突欲を襲う。わき腹を刺された突欲は、息絶えるのでありました。
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