mixiユーザー(id:2810648)

2015年12月16日12:55

228 view

読書紹介1476・「原宿団地物語」

●「原宿団地物語」 ヒキタクニオ著 徳間書店 05年版 1800円
 これまでヒキタ氏の本を4冊読んだが、いずれもヤクザ者が登場するハードボイルドな小説ばかりであった。今回のは、73歳の小曽根さんが主人公。暇な小曽根さんは、毎日、団地の周りを箒で掃いている。そこに通りかかる住民との交渉(8話)が、本書の物語。人情モノで、ほのぼのとした気分にさせてくれる小説だった。
 第1話「原宿団地物語」は、築40年の団地の壁にスプレーで落書きされたのを憤慨し、犯人捜しのため「原宿団地美化委員会」を結成。そこに集まった住民の、特技や半生が描かれる。
 第8話「チョコレート・ペーストの日々」は、小曽根さんの妻・クリスティーナ(ベルギー人。結婚45年超)が毎日つくる朝食(チョコレート・ペースト)と、周りの「発展」から取り残されたおかげで残された緑の森のある原宿団地の貴重な環境と、そこを遊び場にする子供達の「苛め」の話。
 本書には、奇跡的に残された古風な団地(5階建て、エレベータなし)住民の日々が描かれていたのであった。ヒキタ氏の、人物描写が素敵な小説でした。

1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年12月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031