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2015年12月10日13:15

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読書紹介1473・「消し屋A」 

●「消し屋A」 ヒキタクニオ著 講談社 03年版 1762円
 消し屋シリーズ1作目。今回は博多が舞台。舞い込んだ依頼は殺しではなく、福岡ドームを根拠地にする球団の捕手・真壁を、試合中に自発的に試合放棄させること。自発的なので、脅迫などは厳禁であった。これは、野球賭博をやっている地元のヤクザ組織が、関西ヤクザに野球賭博の利権を狙われたこと。そこで、堅くて人望のある真壁を「握っている」という示威行動をする、というのが依頼内容であった。
 今回の「消し屋」の戸籍上の名前は、幸三である。幸三は、殺し屋であると同時に「絵図師」でもあった。自ら、犯罪の絵図を描くのである。そこで、真壁に関するあらゆる調査が始まる。ここでは、プロ野球選手の真壁の日常生活から食事の内容までが子細に書かれていく。真壁には、付け入る隙はどこにもなかった。
 そこに、真壁と高校の野球部で一緒だったという地元の経済ヤクザから、真壁が7歳の時に実父(大神)捨てられていたことが分かる。早速、大神の行方捜しが始まる。大神は、地元の資産家の父親が欧州で産ませた子だった。だから真壁には、ゲルマンの血が4分の1入っていたのだ。その大神が真壁を捨てたのは、賭博に狂って筋者を騙したからであった。筋者の追及は容赦のないものだった。堪らず、大神は妻子を捨てて行方をくらましたのだ。
 本書では、筋者の手玉にのって大神が転落していく様が見事に描かれる。筋者に、素人の友達(大神の中学の同級生だった)など無いこと。素人とは全て「金の成る木」であって、そこに友情など存在しないことなど、筋者の非情さが描かれるのだ。
 ということで、大神を薬漬けにして真壁に試合放棄させようとするのだが・・・。という物語。

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