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2015年10月03日05:55

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「お一人様」の功罪

居酒屋のお通しはいる?いらない?
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=116&from=diary&id=3643392

一緒にお昼を食べる友達がいなくて、一人で食べるところを見られたくないからトイレの個室にこもってご飯を食べる『ランチメイト症候群』がネットスラング『便所飯』として話題になりだしたのは2005年の頃だそうです。でも、恐らくはもっと昔からあったコミュニケーションの葛藤で、人は「一人で行動すること」について他人の目を気にする生き物なのかもしれません。
そんな心の葛藤に開き直りで対抗する人々がここ数年台頭して来ました。
『お一人様』と呼ばれる周囲の目を気にせず単独行動をする人達です。曰く「一人カラオケ」、「一人焼き肉」、「一人テーマパーク」等々。かくいう自分も若い頃から「一人居酒屋」は平気で、その店の中で見知らぬ客と友人になっていくのが楽しみという「お一人様」賛成派です。
ただ、このムーブメント、もろ手を挙げて喜んでばかりもいられない雲行きなんですよね。たとえば、先日、ネットニュースで「居酒屋のお通しは不要か」という議論が話題に挙がっていました。お通しというのは店に入ると自動的に出される一品(小鉢料理が多いかな)で平均300円くらいの値が付きます。お通しに対する賛否をここで議論するつもりはないのですが、気になるのは反対意見の方の底流に流れる「俺は聞いてない」、「俺は認めない」というムードです。
例えば、フレンチを食べに行って前菜が出てきた時に「俺は頼んでない。メインから持って来い」という人はいません。懐石料理を食べに行って八寸(フレンチの前菜にあたる数種類の盛り合わせ料理)が出て来ても同じでしょう。それと同じで居酒屋でお通しが出て来て文句を言ったら、長年居酒屋で呑み慣らしたベテランの客の失笑を買います。「他の飲食店では殆んどないのに、何故飲み屋だけにあるのか」という意見もあるようですが、それが居酒屋の文化だからとしか言いようがありません。フレンチや懐石が決められた順番で料理が出されるのと同じことです。
飲食店には店主と客たちの間で長い年月をかけて培ってきた文化があります。一見、不合理に見えたとしても一見の客が「俺はそんなの聞いてない。認めない」とうそぶくほどそれは軽いものではありません。その店の文化にリスペクトすることができないのならば、いますぐその人は店を出ていくべきでしょう。なぜなら飲食店は大勢の人が同じカウンターで食事をとる場所であって、決して「お一人」で食事をする場所ではないのですから。
『お一人様』の台頭は必要以上に他人の目を気にしない心の解放をもたらしました。これは間違いなく歓迎すべきことで『お一人様』の功罪の『功』でしょう。反面、他の人と食事を共にする遠慮や気遣いに無頓着になるという『罪』を生み出したように思えます。その底流には自分の物差しで他者が大切にしているものを計ろうとする傲慢さが透けて見えます。

昨日、『「列車を撮るのに邪魔」 という理由で線路の柵100本を抜いた鉄道ファンが逮捕』という記事を見掛けました。この事件なども『お一人様』的発想が根っこにあるんじゃないでしょうか? あるいはもっとエスカレートして「俺はこんなに愛しているのに、どうしてわかってくれないんだ?」と言って想い人を殺してしまうストーカー犯罪などもたぶん根っこは同じです。あり得ない話ですが、恋愛を『お一人様』でやろうとした末路のように思えます。
『お一人様』に浸りきってしまうと、その分他人の気持ちや想いに対して鈍感になりやしないか? と、お節介な心配をしてしまいます。何事もほどほどに、たまには『お一人様』ではなく、人と食事をともにしましょうよ。
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