●「振袖一揆ーー御隠居忍法8」 高橋義夫著 中央公論新社 10年版 1500円
このシリーズは過去に読んでいたが、途中で中断していた。今回みつけたので、再開したもの。主人公の狸斎は、元公儀お庭番。40歳で隠居し、友人のいる奥州笹野藩五合桝村で暮らして10年になる。五合桝村の目明し文次と懇意となり、これまで数々の事件を解決し、文次に頼りにされている。
今回は、藩の大黒湊の旅館で客の荷物が盗まれる。その後、その持主が殺されるのだ。文次に頼まれ狸斎も乗り出すのだが、大黒湊で隣藩の農民と米問屋との諍いに遭遇する。隣藩では、不作が続き藩と農民との間が不穏な状態となっていたのだ。ということで、隣藩の権力闘争や農民一揆に巻き込まれる狸斎の活躍を描いたのが本書。
正体不明の盗賊団の女首領が芸者に化けたり、義賊ぶって貧者に金をばら撒いたりする。やがて、全てが一揆へと収斂していく話でありました。
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