●「棲月(せいげつ)ーー隠蔽捜査7」 今野敏著 新潮社 18年版 1600円
今回で、竜崎の大森署勤務は終了。神奈川県刑事部長の内示がでるのだ。竜崎は、公務員にとって出世は必要だと思っている。出世すれば、それだけ権限が増え、やれることの範囲が広がるからだ。しかし、この内示に竜崎はソワソワしだす。それは、大森署を離れることに関することであると気づく。つまり、署長という仕事と大森署の職員に愛着を感じていた、ということであった。
さて今回の事件は、サイバー犯罪である。立て続けに3件のサイバー犯罪が起こったことと、大森署管内で少年の殺人事件が起こったのだ。最初に、鉄道会社のサイバー不良で運休があったことから、竜崎は「事件では?」と危機意識を持つ。そこで、署内のサイバー係員を調査に派遣する。その後、立て続けに銀行、そして文科省のホームページ書き換え事件が起きる。
鉄道会社、銀行本社にサイバー係員を派遣していた件は、やがて警視庁生安部(サイバー犯罪課がある)に知られ、部長から抗議の電話がくる。これは所轄の仕事ではない、「管轄外に捜査員を差し向けるとはどういう了見だ。すぐ引き上げさせろ」というのだ。竜崎は、「生安部が引き継ぐまでやらせる」と断るのであった。
やがて、3件のサイバー犯罪と少年殺しが結びついていく・・・、という物語。大森署長・竜崎の最後の事件でありました。
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