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2023年07月06日09:33

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読書紹介2310●「手/ヴァランダーの世界」

●「手/ヴァランダーの世界」 ヘニング・マンケル著 創元推理文庫 21年版 1300円
 2002年、ヴァランダー50代。娘リンダが30歳となり、ヴァランダーと同じイースタ署の警察官をしている。リンダは、アパートの契約書が整いしだいヴァランダーのアパートを出ていく予定だ。
 ヴァランダーは家探しをしている。郊外の一軒家で、犬を飼って暮らすのが夢だ。リンダは、彼女もつくれと急き立てる。そのヴァランダーの同僚マーティンソンが、家を紹介する。親戚の家だが、主が施設に入って空き家となったのだ。
 鍵束を預かって、屋敷を見にいったヴァランダー。庭で何かに躓き、転びそうになる。その何かとは、白骨化した手だった。「スワ、殺人事件か」と、鑑識を呼んで調べることに。土の中から、50代と思しき女性の全身骨が。やがて、骨が1930〜50年の期間に死んだこと。つまり今から50年前のものであり、時効が成立していた。
 やがて庭の植え込みの中からもう1体、これも50代の男性の骸骨が。女性は咽喉を絞められ、男性は頭を殴られ殺されたと判明。
 50年前にこの屋敷で何があったのかが調べられる。50年前とは、第2次大戦の最中である。その頃スウェーデンには、亡命者や移民、ロマなど浮浪する民が行き来していた。ヴァランダーは、ロマの馬車が迷子になり乗っていたロマの夫婦が消えていた記事を見つける。記事は、ロマへの差別が扱われていた。
 やがて、移民の滞在場所として屋敷が使われていたことを。移民の夫婦と息子が屋敷に滞在していた。その息子が今もスウェーデンに残っていることを突き止める。息子は83歳で、施設に入っていた。息子を訪れたヴァランダーだったが、その流暢な説明に違和感を覚える。それは一体・・・。という物語。
 本書は、ロマに対する差別や移民への偏見など、スウェーデンが抱える社会問題を追及した小説でありました。
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