●「カーリー�掘次謝朮修垢詢�と帝国の終焉」 高殿円著 講談社文庫 14年版 700円
�郡�は、インドのオルガ女学院が第２次大戦のために閉鎖され４年目。主人公のシャーロットは、オックスフォード大学に在学中。第２次大戦は、ドイツが敗北し終焉（日本が残っている）が近づいていた。
シャーロットが思うことは、インドに行ってカーリーに謝ること。しかし大戦中とあって、インドに行く手段は見つからない。ある日、パーティーに潜り込んだシャーロットは、友人と熱くインドのことを語っていた。
その話に興味をもったのが、インド北部（デリーの北西部）のカブールタラ藩王国の第４王子・ナリンダ＝シンだった。彼は、インド人の父とチェコ人の母のハーフだが、白人色が強い美しい男だったことから「ル・パオン」と呼ばれていた。
ル・パオンは、「インドに行く方法があるよ」とシャーロットに囁く。その方法とは、「ぼくと婚約すること」というのだ。それが彼の退屈しのぎの１つの方法だ、という訳。ということで、この婚約は世界情勢を揺るがす事態へと発展するのだ。
インドの情勢は４年前とは様変わりしていた。「インドはひとつ」と言っていた国民会議派（ガンジーなど）に対し、ムスリム連盟は反旗をひるがえして独立を宣言（パキスタン）。また藩王国側は、ガンジーの目的が「統一」ではなく「解体」であることに気づく。つまり「解体し、インドから特権階級をなくす」＝藩王国の解体を目論んでいたのだ。ここにきて藩王国が英国と結束し、国民会議派と戦う準備を始めたのだ。
シャーロットの婚約パーティーには、これら全ての勢力が集まった。なかでも、英国からはインド総督の懐刀であるシャーロットの父が。つまり、この婚約は英国の藩王国工作であると思われていたのだ。いっぽう藩王国側では、「反議会派」の盟主にカーリーを押し立てようとしていたが、カーリーは欠席を表明していた。
しかし会場でシャーロットは、自分の身近な人物に変装していたカーリーを発見する。そんな最中、シャーロットは何者かに赤いスカーフ（暗殺集団の印）で首を絞められ、すんでの所でカーリーに救われる。又、シャーロットの父親が刺され重傷を負う。そんな大騒動と疑心暗鬼のなか、�郡�は終わるのでありました。
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