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2020年07月09日14:59

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読書紹介1939●「エウスカディ 上」

●「エウスカディ 上」 馳星周著 角川書店 10年版 1800円
 エウスカディとは、バスク語で「バスク人」のこと。舞台はスペインのバスク地方。1971年と2005年の物語を交互に描いた小説。1971年のスペインに降り立ったのは、日本赤軍の活動家・吉岡。パレスチナで活動していた日本赤軍から、世界同時革命の理想のもとETA(バスク祖国の自由)との連携のために派遣されたのだ。
 本書では、「まさか東洋人がETAの協力者になるわけがない」との思い込みを利用して、ETAのために吉岡がテロ攻撃や連絡業務に参加するのだ。同時に、ETAの軍事部門の責任者から「ETA内に巣くうスパイの摘発」の任務を、極秘に与えられる。
 一方の2005年では、吉岡の息子・アイトール(母はマリア)の物語。アイトールは、柔道のオリンピック選手で、バスクの英雄だった(オリンピックで敗退し、引退)。ある日、アイトールに新聞記者を名乗るヘススが接近する。彼は、32年前(1973)に起こった副総統暗殺のETAのテロで、副総統の運転手だった父を亡くした、というのだ。そこには、吉岡が関わっていると言う。
 やがて、ヘススの記者というのは嘘で、CNI(国家情報局)の職員であることが明らかになる。このテロの3日前に吉岡は何者かに銃殺されていたが、ヘススは吉岡が関わっていた、と調べているのだ。やがてアイトールは、吉岡が国際手配された日本赤軍のテロリストであること、マリアが元ETAの活動家だったことを知らされショックを受ける。
 ということで、吉岡の過去をヘススと調べ始めたとたん、マリアが失踪。又、調査のため会いに行った元ETAの幹部が、その直後に殺害されたこと。こうして、CNIや警察の手も借りてマリア探しをする。その最中、アイトールの父親がわりだったイケル(元ETA活動家。吉岡が、イケルにマリアとアイトールを守るよう依頼)が、自宅で銃殺されてしまうのだった。
 過去からなにかがやって来て、ETA絡みの亡霊がうろついている・・・。という物語。

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