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2019年12月12日11:42

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読書紹介1875●「水の通う回路ーー完全版 下」

●「水の通う回路ーー完全版 下」 松岡圭祐著 角川文庫 2009年版 552円
 「エクスパンバー4」のゲームをやって子供たちに現れた幻覚は、市販の風邪薬の過剰摂取による薬物中毒と同じ現象であった。精神科医の見解は、それであった。しかし、ゲームをやってそんな現象が本当に起こることがあるのか?。
 やがて、原因が唐突に特定されていく。「2時間以上継続しての操作」を禁じている(3Dによる酔いが起こる場合がある)注意書に反し、子供たちはゲームに取り組むため、事前に抗ヒスタミン剤を内包した乗り物酔いの薬を過剰摂取していたのだ。それが、幻覚を見る原因だった。
 薬の作用で、不安感が恐怖感へとなり「黒いコートの男」が襲ってくるという幻覚をみる。それが、子供たちにパニックを引き起こしたのだ。
 ゲームに慣れ親しんだ鋭敏な子供たちは、「ハードウェアが人体、ソフトウェアが生命」と考えるように。人は、物質にすぎないのか。生命とは、いったい何なのかと。みずからの存在の定義に疑問を感じるようになる。そして、死への恐怖におののくのだ。
 こうして、人間はなぜこんな形(水のはいった袋)をしているのか。水のはいった袋は、容易なことで壊れてしまう。壊れると、水の通う回路(脳)が機能しなくなる。すなわち死んでしまうと、パニックを起こしてしまった。
 それを東大出で優秀な技術者で、中国人の母親をもち、母に中国拳法を子供のときから習っていた津久井が、中国文化の人体の印象から「水のはいった袋」という、小学生の表現に理解を示した。原因究明のカギが開けられたのだ・・・。という物語でした。

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