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2017年12月30日08:15

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読書紹介1694・「ペルシア帝国」 

●「ペルシア帝国」 ピエール・ブリアン著 創元社 96年版 1400円
 アーリア人(ウクライナ平原から中央アジアにいた金髪碧眼種)がイラン高原に進出し、定住して世界帝国を築いた。それがペルシア帝国(前559~330年)である。
 ペルシア帝国の版図は、西はエジプトから東は中央アジア(現サマルカンド)にまで及んだ。このような大帝国は、それまでの地球上において先例のないものであった。だが、最後はギリシア(マケドニア)のアレクサンダー大王に敗れて滅亡した。その230年余の歴史を、歴史資料に基づいて描いたのが本書。
 ペルシア人は、古代中近東における文明の創始者ではない。楔形文字はシュメール人が発明(前3500から前100年)し、それを継承して使用した。全中近東にまたがる未曾有の広大な領土を統治する手段として作った、王道と宿駅などの付属設備は、シュメール人の王(前2112~2095年)が始めたものであったものを、より広範囲にわたって確立したものだ。
 国家の制度としては、アッシリアの王たちが始めた州制度や貢税制度をひきつぎ、被征服民支配を安定した統治体制にすることに成功(アッシリアは失敗)した。これは、のちにローマ帝国の属州制へと受け継がれていったのだ。ペルシア帝国は、古代中近東の長い歴史(文学、科学、宗教なども含む)の完成者であったのだ。
 あらゆる人間の中で、贅沢ゆえに有名になった最初の国民はペルシア人だった。王の食卓には毎日、大勢の人々が饗宴に招かれた。そのために日々、千頭もの動物が解体された。といっても、もともとペルシア人は躾と忍耐でまさっていた。ペルシア人の子弟は5歳から20歳までの教育のなかで、ひたすら「乗馬と弓術と正直」だけをたたきこまれたのだ。
 本書は文字中心ではなく、発掘された遺構などの資料の写真が半分も占める本。目で見て、前500年紀からのペルシア帝国の繁栄の様子を知ることができたのでした。

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