●「湖底の城 7巻」 宮城谷昌光著 講談社 16年版 1600円
本書は、楚から呉に亡命した伍子胥の物語かと思っていたら、7巻から越の范れいの物語に変わっていた。たしか伍子胥は、呉の王の参謀となって楚王(父と兄の仇)を滅亡させたはずである。それを読んでいなかったから、6巻を飛ばしたようだ。
さて7巻である。范れいの少年時代から30歳位までが描かれている。12歳の時范れいが斉に行っている間に、楚の冨商であった実家は盗賊団に襲われ家族が皆殺しされた。財宝は奪われ、建物は放火されたのだ。賊は100名を越える集団で襲ったのだ。
ということで、范れいは親戚である越の范季父を頼って行くことに。越では、計然という経済学者のもとで学問を授けられ、士として越王の側近となった。計然は、「富国強兵」策を教えていた。
7巻では、范れいが異能の人々を自分の部下にしていく様子が描かれている。呉が越に攻め寄せて来た時、5対1の軍勢の違いをみて范れいは、王の逃げ道を確保する手立てを講じていた。
この最初といえる呉越の戦いでは、越の奇襲作戦が成功し、呉王を死に至らしめた。終戦後、呉の占領地経営を若き范れいが任され、見事その任務を范れいは果たした。これにより、范れいは士から大夫へと昇進し、王の側近として「諜者部隊」を任されることになる。また食邑も与えられ、王の側近と食邑の経営を同時に務めることに。そのために、計然先生から人材の推薦等を得て、范れいのもとには続々と人材が集まるようになる・・・。
7巻では、あの有名な美人・西施が生まれたばかりの赤ん坊として登場する。赤ん坊の西施と范れいは、親同士で「婚姻」約束がされたのである。その西施が、20歳になり、越王の側室として范れいの前に現れる。もちろん范れいは、この時には妻帯していた。果たして、范れいと西施の運命は・・・。という物語。
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