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2016年09月23日13:20

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読書紹介1573・「アンダーカバー秘密調査」

●「アンダーカバー秘密調査」 真保裕一著 小学館 14年版 1800円
 本書は、2つの話が同時進行する。1つは、日本人の戸鹿野智貴。2つは、英国人のジャッド。戸鹿野は東大出で、IT企業の若き成功者。企業買収などで、会社をどんどん大きくしていた。ジャッドは、SOCA−重大組織犯罪対策機構(英国版FBI)のエージェントで、麻薬組織の撲滅に務めていた。
 戸鹿野は、つかの間のバカンスを愛人とタイ旅行に。空港で、お土産の中から麻薬が見つかり、そのまま20年の刑で服役の身に。愛人は「私は知らない」と、早々に日本に帰ってしまった。何者かに嵌められたのである。
 カリスマ経営者の居なくなった戸鹿野の会社は、たちまち立ちいかなくなって解散。戸鹿野の全財産は差し押さえられてしまった。牢獄の中で生き抜くため、戸鹿野は囚人たちのためにインターネットを屈指して商売を始める。その才覚で囚人たちに利益をもたらし、戸鹿野は牢獄のボスたちの優遇を受けることに。こうして、牢の中で自分を嵌めた人物を探し始めた戸鹿野。
 やがて、ホテルの従業員が戸鹿野のトランクの中に麻薬を仕込んだことを突き止め、釈放されるまでに5年の歳月を要した。戸鹿野は誰も信用していなかった。とくに、自分を嗅ぎまわる日本のマスコミを。その戸鹿野が、日本に戻り秘密調査を開始するのに2年が費やされた。整形手術をし、日本人の戸籍を買い、別人に成り済ましててであった。その費用は、ネットでの株取引での儲けで賄ったのだ。
 一方ジャッドは、英国での麻薬組織を1つ潰した後、オランダへと派遣された。SOCAの身分で、オランダのユーロポール(インターポールのEU版)に出帳させられたのだ。イタリアでは、マフィアのバスが拷問を受けて殺されていた。その調査中、今度はトルコで同様の拷問を受けマフィアのボスが殺された。背後に、プロのチ−ムを組むテロ組織の影が。彼らは何かを探していたのだ。それを奪うため、2人ものボスが拷問を受けた。それが、小型潜水艦のソナーの代用品の設計図であることがジャッドの調査で判明。その設計図は、日本のある中小企業の発明であることを突き止める。
 戸鹿野の秘密調査でも、かって戸鹿野の会社が買収しようとした企業の発明品のことを突き止める。こうして、戸鹿野とジャッドの調査の結果が繋がっていく。という物語。戸鹿野の獄中生活の様子は、アメリカ映画に似たようなものがあった。この様子と、ジャッドの各国の呑気な警察官の尻を叩いて働かせる様子が、なんとも小気味いい小説でありました。


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