[難易度:2、時間:10分]
『楢林雑話』(1799年)という書物にこんなことが書かれています。
「和蘭の酒をポンスと云、これを製するには、焼酎一杯、水二杯沙糖宜(よろし)きほどに入、肉豆蔲(にくくず=ナツメグ)、香気あるために入」
和蘭はオランダのこと。オランダから伝わったカクテルのレシピですね。蒸留酒を使うのですが日本では焼酎を使ったみたい。ポンスと言われてもピンと来ないかもしれませんが「蒸留酒に柑橘系の果汁、砂糖、スパイスを加えた」カクテルというとイメージできませんでしょうか。そう、ポンチとかパンチと呼ばれているあれです。
ポンスは元々はカクテルを指す言葉だったのですがそのうち橙(だいだい)などの柑橘類を絞った汁を指す言葉に転じて更にポンズと語尾が濁るようになります。更に更に酸味の強さから酢という字を当ててポン酢という言葉になっていったという。
更に更に更にポン酢に醤油を加えた調味料をポン酢醤油と呼んでいたのですがだんだん単にポン酢と言ってもポン酢醤油を指すようになってきています。
今ではどこの家庭の冷蔵庫にも大概1本は並んでいる調味料ですが何にでもマヨネーズをかけたがるマヨラー同様、何にでもポン酢を使いたがる一派もいる模様。そういえば回転寿司屋のカウンターにもいつの間にか当たり前のようにポン酢が並ぶようになりましたね。
ポン酢は斯様に刺し身などタンパクでさっぱりした料理に良く合いますが、実は脂っこいものにも絶大な威力を発揮します。天麩羅をポン酢で食べるとむちゃくちゃ美味しいのでぜひ一度お試しあれ。
そして、豚肉など脂っこい食材の炒め物にもポン酢は大活躍するのです。
[材料](1人分)
・豚バラ肉スライス:100g
・茄子:1本
・にんにく:ひとかけ
・揚げ油:48g(大匙4)
・ごま油:8g(小匙2)
・ポン酢:18g(大匙1)
・刻みネギ:適宜
[作り方]
1.揚げ油をフライパンに入れて強火にかけ2分ほど温めます。待っている間に豚肉は食べやすい大きさに切ります。茄子はがくを取って櫛形に切ります。にんにくはみじん切りにします。
2.茄子を揚げ油に入れて2分揚げ焼きにします。
3.フライパンの油をストッカーに戻してそのまま洗わずにごま油を加えます。これににんにくを入れて弱火にかけ香りが立ってきたら豚肉を入れて中火にし、色が変わるまで炒めます。
4.3.のフライパンに茄子とポン酢を入れて水気がほぼなくなるまで炒めればできあがり。お皿に盛って刻みネギを散らして戴きます。
[備考]
・脂身の多い豚バラ肉に揚げ焼きした茄子──めっちゃ脂っこいはずなのにさっぱりした風味に仕上がります。ポン酢って偉大! そしてにんにくの風味が食欲をそそるそそる。
・ポン酢は脂っこい料理や揚げ物にとても合います。天麩羅を食べる時はぜひ天つゆと一緒に揃えてみて下さい。
・生姜や茗荷のみじん切りをいっしょに炒めると風味が複雑になって更に楽しいですよ。炒ったナッツや炒り胡麻と合わせても美味しいです。
ということで、よければ一度お試しください。
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