読書紹介1989●「処断ーー潜入捜査3」

●「処断ーー潜入捜査3」　今野敏著　実業之日本社 09年　857円
　千葉で漁師が惨殺され、岐阜で環境保護団体のメンバーが野鳥密猟者に刺された。暴力団艮（うしとら）組の代貸・乾による犯行であった。艮組は、大掛かりな密輸・密猟を企て、それに反対する者には凶行をもって応じていた。
　ということで、岐阜に単身派遣された佐伯は、野鳥密猟現場で乾と対決することに。一方、密輸や密猟に暴力団がかかわるには、あまりにも儲けが少なすぎることに疑問をもった佐伯の上司・内村（環境犯罪研究所所長）は、やがて艮組組長・鬼門の目的が「麻薬・覚醒剤の流通経路作り」にあることを突き止める。
　艮組は、「暴対法」に先んじて代紋を降ろし、株式会社の体裁を整えていた。それは、鬼門がこの世界ではめずらしく有名私大出のインテリであることと関係していた。暴力体質の乾をさんざん利用しながらも、新体制では乾が邪魔であった。乾処分の理由づくりに、乾の暴力を野放しにしていたのだ。
　そんな鬼門に対して、内村は罠を仕掛けることに・・・。という物語でした。