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2020年07月19日11:46

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読書紹介 1943●「サーベル警視庁」 

●「サーベル警視庁」 今野敏著 角川春樹事務所 18年版 640円
 時代は、明治38年。日露戦争の最中に、警視庁第1部第1課に殺人の知らせが入る。殺されたのは、帝国大学講師・高島。高島は急進派で、日本古来の文化の排斥論者として「日本語もやめドイツ語にすべし」、というドイツ派であった。同日、陸軍の本庄大佐が殺される。手口は、高島と同じ鋭利な刃物で一突きに殺されていた。
 第1課は、伯爵の孫で探偵の西小路や、元新撰組三番隊組長で警視庁にも在籍(警部)していた斎藤一(この登場が面白い)と共に捜査を進めていくが、警視庁の上部組織である内務省から「待った」がかかる。内務省で取り調べる、というのだ。
 ということで、警視庁の職員ではない西小路や斎藤、それに高島と交際(手紙のやり取りだけの)があった子爵家令嬢の城戸喜子が捜査をすすめることに。やがて、陸軍内の長州閥内にあるドイツ派(主流)とフランス派の派閥争いが明らかに・・・。という物語。
 本書では、舞台に直接は登場しないが、夏目漱石(東大の英語教師)やラフカディー・ハーン(小泉八雲)などが、捜査の過程で登場して日本について何を思っていたかが述べられる。ここに日本という国家が、歪んでいく時代の直前の世界に生きた人々のことが描かれていくのでありました。

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