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2017年12月18日08:02

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読書紹介1692・「馬の世界史」 

●「馬の世界史」 本村凌二著 講談社 01年版 700円
 もし馬がいなかったら、現代(21世紀)も古代のままだったろう、と著者は言う。馬が人類に果たした役割を、本書では明らかにしている。
 氷河期が終わって地球が温暖化し、農業が始まった。農業の次に牧畜が始まったが、地球の乾燥化がすすんで農耕地は南下せだるをえなくなった。牧畜の一部は乾燥地に残り、人類が馬に騎乗できるようになった時、遊牧が始まった。ここに、騎馬遊牧民が誕生したのだ。
 騎馬を得た人類は情報の伝達の速度をあげ、荷車を馬に牽かせることで物の運搬を遠方まで行うことができるようになった。戦車の出現は近代における火器よりも、当時の世界を大きく変えてしまった。彼らは、1人の優れた指導者のもとに集まり、定住民(農耕民)の地に侵入し富を奪うようになる。
 ここで著者は、この北方からの圧力が農耕地をまとめあげ帝国を築くキッカケとなった、と言う。東方の秦・漢による中国の統一も、これら騎馬遊牧民の脅威がなければ起こりえなかったのだ。それは、世界帝国の前触れとなったのである。しかし騎馬遊牧民は文献を残さなかったので、その歴史や内容は周辺の文明国(農耕地)の記述からしか知ることができなかった。
 インド・ヨーロッパ語族のアーリア人は、金髪碧眼の騎馬遊牧民であった。彼らは中央アジアやウクライナ平原で発生し、瞬く間に(世紀を跨いで何度となく)ヨーロッパ・イラン・インドを席巻し、これらの地の支配者となった。やがて騎馬遊牧民は、地中海沿岸の地(ギリシア)にやってきた。ところが、この岩ばかりの地では馬は役にたたなかった。そこで馬の速度と運搬力は船にとって替えられるのだ。彼らが崇めていた馬の神・ポセイドンは、海の神へと変身させられたのである。こうして、ギリシア文明が誕生するのだ。
 人類が馬から船に乗り換えた時、地球は1つに結び付けられる端緒となった。ここに、世界史が始まるのである。壮大な世界史の幕開けに馬が果たした役割を知り、ワクワクし
たのでありました。

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