mixiユーザー(id:2810648)

2017年11月24日13:04

106 view

読書紹介1686・「顔貎売人」

●「顔貎売人」 柳井政和著 文芸春秋 17年版 1750円
 ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬シリーズ2。今回の事件は、女学生の時にAV出演強要の被害に遭った女性の顔が、「AV女優顔探索」というサイトで暴かれ、ヤクザから脅迫されるという事件から端を発する。
 被害者の姉から相談を受けた女社長・安藤は、クールな一匹狼のネット技術者鹿敷堂に解決を依頼する。鹿敷堂が動き出すと、そこには大学生時に奨学金という名のサラ金から400万円の借金をし、人づきあいも出来ずに新卒採用を断られた情報技術者・小倉の姿が浮かんできた。
 小倉のサイトには、「日本死ね」という呪訴が載せられていた。やがて小倉の顔認識システム(インターン生として受け入れてくれた企業から盗んだ)は、霞が関の官僚の裏の顔を暴くために作りかえられていることがわかった。官僚を攻撃して、「日本死ね」を実現しようとしていたのだ。「AV女優顔探索」は、このシステムの有用性を確かめる実験で、ヤクザに売却したものだった。
 ということで本書では、現在の学生の置かれている状況が克明に描かれる。全国チェーンの激安店という名のブラック企業で、過酷なアルバイトに追いつめられていること。大学生の5割が受給している奨学金というものの実態。やがて、小倉の「顔認識システム」に目を付けた中国企業(スパイ行為で各国から摘発されていた)が乗り出す中、鹿敷堂のとった行動とは。
 情報技術が悪用されると、ネットテロなどの事態が訪れること。今はそんな時代になっているのだと、つくづく思わされた本でした。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2017年11月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930