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2016年11月24日09:56

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読書紹介1592・「ロング・グットバイ」 

●「ロング・グットバイ」 レイモンド・チャンドラー著 早川書房 09年版 1400円
 本書の主人公じゃ、私立探偵フィリップ・マーロウ。マーロウの名を始めて耳にしたのは、TVドラマ「相棒」であった。高橋克己演ずる私立探偵が、マーロウのマネをしていたのだ。さて本書である。原書は、米国で53年に出版されたものだ。第2次大戦の余波と赤狩りのあとの閉塞感が本書を読むと伺える。
 ある日マーロウは、泥酔する男・レノックスをホテルの前でみかける。真っ白な髪(白髪)で、丁寧な英国なまりの人物。泥酔していても、どこまでも礼儀正しい男であった。レノックスの傍には、大金持ちらしい美貌の女がいたが、レノックスを置いてさっさと車で立ち去ってしまった。そのまま放っておくと路上にころがり、身ぐるみ?れそうなのでマーロウが助けることに。レノックスとの友情は、こうして始まったのだ。
 アル中から立ち直ったレノックスは、先の美貌の女・シルヴィア(元妻)と再婚し、巨万の富を得ていた。シルヴィアは、億万長者の娘だったのである。ところが、そのシルヴィアが、自宅の離れで殺される。レノックスはマーロウの自宅にやって来て、「これからミキシコに行くので飛行場まで送って欲しい」と頼む。
 ということで、本書はシルヴィア殺人事件に巻き込まれたマーロウが、駈けつけた警察官に黙止を貫いたため手荒な扱いをうけ留置所送りになる。そこに弁護士がやって来て、「釈放させてあげる」と言うのだ。条件は、この事件を忘れることであった。マーロウは、これを拒否する。
 3日後、レノックスがメキシコで「告白書」を残して拳銃自殺したことで、マーロウは釈放される。ここから、マーロウの独自の調査が始まるのだが、そこには探偵ミステリらしいどんでん返しが2〜3回も描写されていく。しかし読んでいて、これがどんでん返しとは思えないで読みすごしてしまった。それは、本書がミステリ本として書かれたというより「純文学」の様相が濃厚で、じつに見事に登場人物たちが描かれていたからであった。
 ところで、本書の訳者は村上春樹であった。村上が訳者もやっているとは知っていたが、まさかチャンドラー本を訳していたとは知らなかったのでありました。

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