今回の乙嫁候補は、アミルがこの町に嫁いで最初に友人になったパリヤさんだ。 (アミルがそう呼ぶからか、パリヤには「さん」をつけて呼びたくなる。) 悪い娘ではないのだが、素直さとガサツさからくる率直な物言いで誤解されがちなところがある。 6巻のパ
著者の伊奈めぐみは、女流育成会に在籍して女流棋士を目指していたこともあり、 詰将棋専門誌「詰将棋パラダイス」に作品が掲載されるなど詰将棋創作活動でも知られ、 兄もプロ棋士であるとともに、何より夫がトッププロ棋士の渡辺明竜王という人物である。
つなぎで読んだ新書。 地理ネタを使った歴史のスキマ情報本である。 扱っているのは、旧石器時代から平安時代までと広い。 教科書に載っている歴史というと、大きな出来事とその影響までだが、 地図を示しながら見つめなおすことで、その背景にあたる部分を明
久しぶりの新刊だが、ここへきて新キャラが登場した。 「ばーちゃん」である。 「ばーちゃん」は「とーちゃん」のかーちゃんてあるらしいのだが、 昔ながらの家庭漫画にありがちな、良妻賢母的な静かな女性ではない。 まず、オシャレだ。 動きやすいゆったり
どうやら、わかつきめぐみは健在であるらしい。初出は「<白泉社e-net!>他にて電子配信」とある。私のように「わかつきめぐみ」という看板だけで、つい単行本を買ってしまった者もいるので、というか、少なくとも私は雑誌を買わないし、雑誌の話題から単行
「すずちゃんの鎌倉さんぽ」に続く、「海街diary」関連本である。前に紹介した本と違って作者の「吉田秋生監修」であり、小学館の発行とあって、原作のカットもふんだんに使われている。前半の70ページほどは、作中で登場した「香田家の食卓」や作中の海猫
ひょっとしたら、そうなのではないのかなあと思いつつ買ってしまい、予想通りの残念な本だった。出版社が違うので、原作の画像は一切使われていない。著者は「「乙嫁考察研究室」とあるが、いかにも、この本のために付けたような名前だ。もちろん、匿名でも、
宣伝用のうたい文句では、「笑いしかない」とのこと。でも、さすがに、本当に笑いしかないような作品は作らないだろうとも思っていた。かつて、第三舞台を率いていた鴻上尚史も観客動員を意識して、わざと「必ず、笑わせます」と言っていたこともある。という
一人暮らしの元校長先生の家に、亡妻が可愛がっていた三毛猫がやってくる。 猫が、毎日、当たり前のように仏壇の前に座っているので、校長先生は、どうにも面白くない。 頑固な退職校長にイッセー尾形、亡妻にもたいまさこ、 近所の美容室の主人が岸本加世子
プロ棋士の将棋よりも、女流棋士の将棋の方が見ていて楽しいという話がある。 女流棋士の将棋は言い分を通しあう乱戦が多く、指し手の意味もわかりやすいのに対し、 プロ棋士の将棋は、相手の手を先回りして封じたり、細かい損得を積み重ねるなど、 勝負に徹
うかつだった。 何者にも屈せず、常に自然と向き合うプリニウスに対し、外から介入するものがあるとすれば、 暴君であることを強いられた皇帝ネロをめぐる大きな物語だろうと思っていた。 療養を兼ねて、いちはやくローマを離れたプリニウス一行は 皇帝よりも
長年、「街道歩き」を趣味にしている。だからなのか、旅の同行者が「読め」と手渡してくれたのがこの本だ。「北海道いい旅研究室」で知られるライター兼イラストレイター兼編集者の舘浦あざらしは、相棒のぶぶまるを連れて函館本線を札幌から函館に向けて歩き
18歳未満の子どもたちだけが残った「AWAY」の世界は、ますます被災地めいてくる。 残された者たちだけで、不十分だが自立した生活の再建が始まる。 高校生はコミュニティのリーダーとして、限られた食料を探したり、運んだり、配ったりしている。 中学生
大仏建立前夜の奈良時代、夜中には似つかわしくない、高貴な姫が伴も連れず、何かに導かれるように、西の地・二上山に向けて一人歩いている。やがて、山のふもとの寺にたどり着くのだが・・・そもそも、屋敷の奥深く暮らしているはずの姫が、家を出るだけで大
岩倉具視というのは、いつからこんな風に小賢しいイヤな奴になってしまったのか。私が純真な子供だった頃には、岩倉具視は500円札の人だった。それが、どうしたわけか、幕末に暗躍する陰謀を巡らせる公家の象徴として、幕府側から描かれた物語でも、倒幕側か
日本史として、しっかり神道を語ってくれるる新書が登場した。監修者の新谷尚紀は「稲の民俗学」の研究者てあり、 執筆者の古川順弘は「宗教・歴史をメインとするライター」とある。 それゆえ、神道を語るのに古事記や日本書紀の記述に過剰に引きずられること
夫を亡くし、郷里に帰った灯子は、掘り出された朽ちた女神の像を見た夜、気味の悪い夢を見る。 像の女神が人の姿となり、「おまえたちが わたしを殺した」と告げたのだ。 実は、廃校となった小学校の管理人の青年・平田も同じ夢を見ていたらしい。 輪廻転生
2015年、「阪神沿線の文化110年展」と題する合同企画展が、 神戸・芦屋・西宮・尼崎の7つの美術館・博物館において、 阪神電鉄も参加した実行委員会の主催で開催された。 1905年に開通した阪神電鉄は「私鉄としては早くから沿線開発に先駆的な役割を果たし」
この3月に、人間国宝・桂米朝が亡くなったことを受けての160ページにも及ぶ特集である。 桂米朝の功績からしても、「ユリイカ」という雑誌の性格からしても、「らしい」感じだ。 とはいえ、東京の進歩的文化雑誌ならではの特集となっている。 たとえば、大阪
副題に「木皿食堂2」とある。 一昨年に出た「木皿食堂」に続く、エッセイを中心とした雑文集である。 とはいえ、表題の新聞連載「木皿食堂」からの収録は50ページ弱しかない。 逆に言えば、木皿泉は、この2年ほどの間に、 残りの180ページ分を埋めてしまえる
少女マンガの一つの到達点ともいえる吉田秋生の「海街diary」を 役者に自然な演技をさせることにこだわる監督・是枝裕和が映画化した。 先に原作を読んでいる映画は久しぶりで、原作ファンとして映画化は素直に嬉しかったが、 まだ連載中の物語を、どう再構成
前巻の終りに、将軍・家斉は自ら密かに城下の黒木宅を訪れた。 将軍が江戸城を離れること自体、通常ありえないことであるし、 ゆるぎない欲望と毒物でもって江戸城を支配する母・治済に隠し事をするのも危険だ。 家斉は、それほどまでに自分の命を救った「人
しばらく集中的に描いていた「グッデイ」のシリーズが一冊の本にまとまったことで 須藤真澄は、再びいつものあいつらの物語に帰ってきた。 幼い時代の大阪姉妹は、大阪市立美術館らしき場所で開催された大インド展に現れる。 (あとがきに旧大阪市立博物館と
桂米朝といえば、後に四天王と呼ばれることになる若き落語家仲間とともに 昭和20年代には「滅んだ」とまで言われた上方落語を復興させた立役者であり、 演芸界初の文化勲章受章者となった誰もが知る上方落語の巨人である。 その功績については、少し調べれ
最終巻。藤井がパリに行ってしまっても、あいかわらず市江は、南洋裁店を訪れる客たちに小さな幸せを送り続けている。そして、そのまま最終話に至る。急転直下の劇的な市江と藤井の再会があるというわけでもなく、丸福百貨店の企画イベントに出品することにし
単発の「ちょっといい話」の合間に藤井は丸福百貨店のパリ支店に転勤になる。それと並行して、「翔くん」のプロジェクトも進行している。あと1巻で終わると知っているだけに、この新展開はどこに落ち着くのか心配になる。結局、パリに旅立つ藤井が市江に求め
丸福百貨店で行われる洋裁教室の展示会に、市江は、祖母の作った服を出品する。南洋裁店の蔵には、先代の作った服が大量に残されているのだ。そこに登場するのが、南洋裁店での展示会に登場した祖母の教え子のデザイナーたち。さらに、パリ留学中だった「翔く
この巻は、イギリス人文化人類学者のスミスたちのが訪れた都市での物語。スミスたちを受け容れた有力者らしき男の妻・アニスが、この巻の乙嫁だ。広い庭のある大きな屋敷で、多くの使用人にかしずかれる豊かな生活、優しい夫、子どもにも恵まれ、申し分のない
プリニウス一行はローマに戻る。旅先で新しい口述書記となったエクレウスは、プリニウス宅の庭にひしめく異国の植物たちや、書斎に並ぶ大量の書物と収集物に驚く。青年エクレウスは読者とともに怪人プリニウスを見る側として、この物語の主人公となるようだ。
「よくあるファンブック」と言ってしまえばそれまでだ。しかし、作者のあずかり知らぬところで、ファンを頼った楽な商売をしているような本ではない。大量のカラーイラストには、みなもと太郎による解説的なコメントが付いているし、みなもと太郎インタビュー