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日記一覧

清原なつの本人による習い事体験を、軽妙に描いたエッセイ漫画である。華道、陶芸、歌舞伎鑑賞、鵜飼鑑賞、盆踊り、書道と、主に、和物の古典的な芸事を楽しむ日々が描かれている。それにしても、この本の中の清原なつのは実に悠悠自適で、美術館のガラス越し

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須藤真澄は、コミックビームで16ページの読み切りファンタジーを2004年から発表している。 10年を超える連載なので、年に一度くらいのペースで同じ登場人物を使ったりもするが、 一つの設定で描き続ける、いわゆる読み切り連載という形式はとらなかった。 と

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以前から、「日本神話」がどれくらい「歴史」であるのかが気になっていた。 神話には、天皇家はもちろん、主だった氏族の先祖とされる神々が登場するし、 神々の生活や戦いの場所として、具体的な日本の地名も上がっている。 となれば、日本のいろんな土地に

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羽海野チカの入院・療養でしばらく休載されていた「3月のライオン」だが、2013年末から再開し、10巻目にまとめられた。ひなちゃんもが入学し、穏やかにすぎていく高校生活や、内弟子修業をしていた師匠宅への心の整理も兼ねた訪問、川本家とのやさしく静かな

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伝説的なNHKドラマ「四季ユートピアノ」で知られる演出家・佐々木昭一郎の 19年ぶりの新作にして、初の映画作品である。 まず、断っておかねばならないのは、 私が「四季ユートピアノ」を始めとする一連の中尾幸世主演作品に相当に入れ込んでいて、 この「

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こうした本は、普通、世に出ないとしたものだ。 2013年3月から2014年4月まで、朝日新聞の朝刊に宮部みゆきの小説「荒神」が連載された。 こうの史代は挿絵を担当し、毎回、物語の展開に合わせた水彩画が掲載されていた。 連載終了後、宮部みゆきの小説「荒神

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最終巻である。冒頭、一話まるごとの長さの情事もあったので、このまま普通に大団円に至るのかと思いきや、残り5話の中で、ヒキの強い決定的な危機も挟み込んでいたりして、なぜ、ここへ来て、そんなものを挟み込むかなあという印象。ヒキはあるんだけど。と

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つげ義春については何冊かは読んでいも、それほどには特別なこだわりがなく、 東村アキコをはじめとする編集し執筆した関係者がつげを絶賛崇拝するのを否定する気もないけれど、 かといって、心の底から同調も出来るわけでもなく、 異教徒の宗教行事にうっか

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最近、古本で見つけた「やにゃか散歩」の近刊にして、最終巻が出ていた。2013年7月から2014年8月の発表とのことで、間にもう一冊あるようだ。2冊目を飛ばして3冊目を語るのもどうかと思うが、1巻目の「やにゃか散歩」では谷中案内も兼ねていたよ

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すずのもう一つの親戚、金沢にある母の実家を訪れる四姉妹。 お定まりのモメごとの後は、慈しむ人たちだけでの優しい時間となる。 大人たちにとって、いつだって子どもは希望を与えてくれる存在だ。 その分、大人はずいぶんと厄介だ。 純粋な気持ちで求めてい

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人痘接種を受けて赤面疱瘡を克服した家斉が、150年ぶりに男子として将軍職に就いた。史実によれば、家斉は50人以上の子を設けたというから、物語の世界でも男性将軍に戻すには良いタイミングだ。しかし、これでたちまち「男女逆転の時代」が終わると思ったら

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古本屋で見つけた本。2011年の刊行だった。見つけた限りは回収するのが、昔愛読したものの務めというようなものだ。タイトルからして、ついにエッセイ・マンガに手を出したか、と思ったがさにあらず、谷中のことを「やにゃか」としか言えないので、「やにゃか

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「借りぐらしのアリエッティ」でデビューした米林宏昌監督による第二作である。 前作では脚本に宮崎駿が携わっていたが、今回は米林本人が脚本に参画しており、 「宮崎・高畑」が全くかかわらない初めてのジブリ作品というフレコミである。 喘息の療養のため

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西加奈子「円卓」を読む
2014年08月26日21:50

例によって、映画を見たから読んだ原作である。この10年ほど、柴崎友香や津村記久子といった1970年代生まれの女性小説家が「咲くやこの花賞」や「織田作之助賞」を受賞し、関西女子系小説家と呼ぶべき一群の新しい才能として登場している。この西加奈子

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2000年代の萩尾望都は、51歳から60歳。 前半は「バルバラ異界」、後半は「ここではないどこか」シリーズを描いていた時期である。 対談者は、マニアックSFネタと美少女で知られた同世代の漫画家・吾妻ひでお(57歳)、 萩尾デビュー後に生まれの「大奥」で

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今や、大河歴史ギャグ「風雲児たち」を絶賛連載中のみなもと太郎だが、あわせて、時代物専門誌で風雲児たちでは描ききれない「外伝」を描いている。この「松吉伝」は、みなもと太郎の祖父にまつわる物語なので、時代は幕末ですらなく、「風雲児たち外外伝」と

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「テルマエ・ロマエ」で売り出したヤマザキマリの「次は絶対ガチンコの古代ローマだ!」との思いから、古代ローマの精神を丸ごと体現するような存在のプリニウスを描くことになったらしい。で、プリニウスって誰?「本名、ガイウス・プリニウス・セクンドゥス

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紫堂恭子は、メッセージの人だ。 一人の大人として今の子供たちに伝えたいことがあらかじめ決められており、 物語は、そのメッセージをわかりやすく伝えることができるよう設計されている。 「聖なる花嫁の反乱」では、逃亡した花嫁・エリセにかかわる8人に

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天才女優・芦田愛菜の映画初主演作である。ドラマ「明日、ママがいない」では、養護施設で暮らす子どもたちのリーダーとして、大人が見過ごす子どもたちの心情を汲み上げつつ受け止めるという、大人以上に大人であることが求められる難しい役をこなしていたが

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腰巻によれば、「萩尾望都待望SF新作」だそうだ。確かに、歴史に縛られた「王妃マルゴ」では、発想の跳躍ができないというストレスもあるだろう。しかし、功成り名を遂げ、腱鞘炎にも苦しむ萩尾望都が、ここへ来て二つ目の連載を始めるとは思わなかった。20

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こうの史代は、絵で語らせる人だ。より正確にいえば、言葉で補うことをしない人だ。出世作の「夕凪の街・桜の国」においても、原爆被害者を取り上げつつも、政治的発言は丁寧に取り除かれ、そのかわりに背景にたくさんのヒントを埋め込んでいた。第二次世界大

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「イザナキとイザナミ」から「ヤマトタケルとオトタチバナヒメ、ミヤズヒメ」まで、古事記における5編の「恋スル」物語を描いた短編集である。とはいえ、一見、無造作なようで計算された描線や、あえて声高な主張を排した説話調の構成など、どうしても、こう

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というわけで、山下和美が建築中の数寄屋で暮らし始めた「続」の1巻である。「女漫画家東京都内の数寄屋で暮らす」というサブタイトルのとおりに、数寄屋に暮らす数寄者生活に入るはずだった山下和美だが、いきなり、連れてきた猫に悩まされる。んーむ。それ

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例によって、本屋で「続・数寄です!」1巻なるものを発見。 なぜ、と思っていたら、3巻が出ていたのだった。 まずは新刊を探したが、最新刊でも本屋に1冊あるかないかのシリーズで、 1年前に出た旧作など、なかなか見あたらない。大阪に出たついでに、まん

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笑福亭鶴瓶(1951年生まれ、1972年入門)、桂南光(同51年、70年)、桂文珍(同48年、69年)、桂ざこば(同47年、63年)、桂福団治(同40年、60年)、笑福亭仁鶴(同37年、62年)の6人に、入門のきっかけから修業時代の苦労話から年季が開けて独り立ちするよ

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2013年と2014年、プロ棋士とコンピュータが真剣勝負を挑む電王戦5番勝負が開催された。 結果は、プロ棋士側から見て1勝3敗1分け、1勝4敗とコンピュータ側の勝利に終わった。 この本は、将棋ネット中継の草分け的存在である松本博文による観戦記

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関西発のお化け番組と言えば「探偵ナイトスクープ」が思い出される、 しかし、その前日に放映している「ビーバップ・ハイヒール」も、10年を越えるなかなかの長寿番組である。 専門的知識を持った研究者・研究家を週替わりでゲストに迎え、 再現ビデオを軸に

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以前から「ののちゃん」は単なる4コマではなく、静かに大きな物語が流れていると聞いていた。機会があれば、まとめて読んでみたい思っていたところに、最新刊の9巻が売り出されていたので早速購入した。まず、登場人物が多い。巻頭に紹介してあるのだが、山

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自動車の中での会話だけで展開するミニドラマ「道草」の第4弾にして最終巻である。 9本のうち5本が「つんのめる都市伝説」シリーズで、 サラリーマンの上司とミステリーおたくの部下が営業の行き帰りに、奇妙な現象に遭遇する。 それも、社内の嘘か本当か

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西村雅彦を主役兼狂言回しにしたFMミニドラマ「道草」のうち、木皿泉が脚本を担当したものを集めたシリーズの第3弾である。はて、「袖ふりあう人々」とは、ということになるのだが、人情タクシーというシリーズだった。確かに、タクシー運転手と客という関

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