mixiユーザー(id:37214)

日記一覧

古本屋で買った平成2年の本。大阪のあちこちを、写真やイラストを交えながら紹介するエッセイである。和多田勝といえば、少し前まで大阪の寄席、特に落語界を紹介するテレビ番組で、視聴者と演芸の世界をつなぐスポークスマンとして登場していた。(今でいう

続きを読む

タイトルに惹かれて読んだ新書。ちゃんとした歴史学者による「武士の町」としての大坂紹介である。とにかく、著者はものすごく怒っている。「町人の都」としての大坂ばかりが世間に流布されており、大坂に武士など「いないも同然」と思われているのが、どうに

続きを読む

24巻から引き続くオペラ編の後半である。前の巻でも「音楽稽古」から「立ち稽古」へと始まるオペラ制作の過程を追いながら、「魔笛」の各場面を紹介ながら物語を進めていた。この巻でも、徐々に衣装や舞台装置が整いながら、「オケ練」から「通し稽古」へと進

続きを読む

こうの史代の初エッセイ集とある。「WEB平凡」に、おおむね4ページずつ掲載されていたものに、雑誌「わしずむ」に掲載された短い作品が集められているのだが、とても、単なるエッセイ集と言ってしまえるような生易しいものではない。エッセイ漫画あり、イラス

続きを読む

古本屋で見つけた本。ミヤコ蝶々、桂米朝をはじめとする23人の「なにわの芸人はん」について、その人となりや小さなエピソードが語られている。1996年の発行とあるから、実は15年ほど前の本である。新野新は、1960年代から関西の劇場で喜劇や歌謡ショーなどの

続きを読む

映画「大奥」を見る
2010年12月05日16:22

映画を見たのも感想を書くのも、遅れ気味になってしまった。映画は、ほぼ忠実に原作の1巻を再現している。改変部分も原作よりも良くなる方向での修正なので気にならない。映画のスタッフの要所に原作を読み込んだファンがいるのか、原作では描かれなかった部

続きを読む

たとえば、郷里の期待に応えねばならないという重圧に苦しむ島田、たとえば、同級生の「将棋やってて楽しい?」という問いに答えが見つからない桐山、たとえば、糖分を補給するために、3個のケーキをむさぼり食う隈倉に、大量のブドウ糖を入れた紅茶を飲む宗谷

続きを読む

最終巻である。2巻ですでに反撃開始だったので、3巻ではきちんと決着をつけてくれた。同時並行の「聖なる花嫁の反乱」も聖なる者が仲間に護られつつ敵に追われる話なので、こちらを終了させて「聖なる」に連載を絞り込むのも納得できる。「な王子をで生活さ

続きを読む

絶体絶命の危機をどうするかと思ったが、意外にあっさりと解決してしまう。上手く行きすぎではあるのだが、それでも、与えられた条件の中では、もう、これしかないというような方法で打って出て、きちんと解決してしまうのだから、物語としてはきちんと流れて

続きを読む

古本屋で発見した本。2004年9月の出版なので、2003年9月に亡くなった夢路いとしの追悼本であり、いとしの死去により解散した漫才コンビ「夢路いとし・喜味こいし」の追悼本でもある。桂米朝の巻頭言。編者でもある喜味こいしのあいさつ文。もう一人の編者で放

続きを読む

「萩尾望都が奏でる美しい童話の世界」と腰巻にある。前半は、フルカラー(一部は2色)のイラストに言葉が添えられたものが16作。単なるタイトルだけのもの、詩的なもの、エッセイ、短い物語など様々だ。初期のLaLaの表紙に言葉を添えたものが5点あって、たい

続きを読む

東京・元麻布でミシュラン三つ星を連続して獲得しているという料理人が日本料理を解説する新書である。前菜からデザートまで、それぞれの皿を入口にして、季節ごとの素材の選択や調理法から、細かな調理技術や調味の説明を交えつつ、自らの食の経歴や、店の経

続きを読む

もはや、ついうっかり買ってしまったというべきかもしれない「百鬼夜行抄」である。前巻の終わりに、律の心臓が一瞬止まったことを理由に、青嵐は律に「契約の終了」を宣言する。しかし、蝸牛との因縁や、いろんな「妖魔/食料」が律の周辺をうごめくことから

続きを読む

今年で20回目を迎える「ゆきのまち幻想文学賞」というものがある。青森を拠点とする「ゆきのまち通信」が主催する文学賞である。「ゆきのまち」はともかく、なぜ青森で「幻想文学賞」なのかがよくわからないのだが、それよりも謎なのは、初回からずっと、萩尾

続きを読む

「借りぐらしのアリエッティ」を見た勢いで、その原作とされる「床下の小人たち」を読みました。一言でいえば、宮崎駿の脚本は、ポッド、ホミリー、アリエッティという「借りぐらし」の家族がいたことと、アリエッティの一家が人に見つかったために、住みなれ

続きを読む

「大奥」6巻を読む
2010年09月11日15:59

この巻のメインテーマは、後継問題である。家光時代の綱吉の父・桂昌院(玉栄)と綱豊の父・順性院(お夏)の確執が、そのまま将軍の後継問題につながっていく。そして、前巻では、産む道具としてしか扱われない綱吉の孤独が描かれたが、この巻では、産む性しか知

続きを読む

実は、高校時代にみなもと太郎の弟子をしていたという大塚英志が、改めて、かつての師・みなもと太郎にまんが史の教えを請う本である。典型的なトキワ荘・24年組史観の持ち主であった大塚英志は、みなもと太郎から、貸本劇画文化を徹底的に叩きこまれる。子

続きを読む

映画「プール」は気になっていた。主演・小林聡美、共演・もたいまさこ、加瀬亮と並ぶと、どうしても「めがね」を思い起こさせる。一方、荻上直子監督の「かもめ食堂」「めがね」からスタッフを引き継ぐものの、監督・脚本が違うので「別の作品だ」という評判

続きを読む

主役の少女が志田未来。相手役の少年が神木隆之介。少女の両親が、三浦友和と大竹しのぶ。屋敷の主である少年の大伯母に竹下景子、その使用人に樹木希林。少女の同族の少年に藤原竜也。なんという、豪華キャストなんだ。アニメで感動した直後なのに、このメン

続きを読む

マンガ専門店で物色した時に、たまたま発見した文庫本である。日本文学の名作を漫画文庫化するシリーズが集英社から発刊されたらしく、今年の7月に、その第一弾として出版された10冊のうちの1冊である。ただし、「原作・宮沢賢治」と大きくあり、「漫画・

続きを読む

歴史物語の面白さは、現在から見た常識をズラしてくれることにあるだろう。幕末のヒーローである吉田松陰だが、いきなり決起を唱えても、長州藩とっては迷惑なことである。薩長が連合して倒幕をしたというのは、今だからわかることで、当時の長州藩の幹部にす

続きを読む

言うまでもなく、「バカの壁」を意識した筒井康隆のエッセイである。タイトルのイメージから、関西の「アホ」がいかに素晴らしいか、「アホ」になりきれない「壁」をもっていてはダメだ、という趣旨の本かと思っていたが、全く反対だった。著者が中島らもなら

続きを読む

旅行用に買った本。 清水義範の短編集は、確実に楽しくなれるので愛読している。 と言って、コンプリートしようという使命感を求められない感じも良い。 で、表題作は作中の人物が作中の人物であることを自覚するというメタ小説。 「魚の名前」は、地方で名前

続きを読む

半ば読み捨てる気持ちで旅行用に買った文庫の古本。「駅名」という、地名に鉄分を添加した本となると、つい手が出てしまう。読みやすい新書や文庫を、さらに分かりやすく解説してくれることで定評のある関西が誇る教養番組「ビーバップ・ハイヒール」でとりあ

続きを読む

「落語をやめて物書きになったらええのに」と言われる桂米二が書いた上方落語の紹介本である。何気ない日常の話から気がつくと、話に入っている。上手いなあ、と思いながら、気がつくことがある。ひょっとして、これ、この噺のマクラなんとちゃうンかいな。実

続きを読む

目を悪くしたことで漫画家を引退したはずの山田ミネコの新作である。坂田靖子の「ベルデアボリカ」と同様に、Webコミック「H&F倶楽部」に掲載されているらしい。深い事情はよくわからないが、Webコミックという形式が漫画家の負担を軽くして、筆を折

続きを読む

1巻の時も感じたのだが、作者は物語を前へ進めるのと同じくらいの思いで、この村の文化を描こうとしている。あるいは、記録しようとしている。1巻は建築だったが、この巻では嫁入り道具としての布支度だ。この民族は、嫁入り道具としてあらゆる布類を用意す

続きを読む

坂田靖子の本を買うのは久しぶりだ。コンプリートを目指していた時もあるが、売れっ子作家となって、いろんな出版社からいろんな単行本が頻繁に出されたころに、追い切れなくなって、フェイドアウトしてしまった。コメディの短編集が多く、まあいいや、という

続きを読む

「江戸の想像力」で江戸に「光を当てた」一人とされる田中優子の著作である。どこかの書評で誉めてあったので新刊かと思ったが、2008年の本だった。あくまで、私が大雑把に理解している限りだが、歴史の語られ方の歴史は、まず、為政者の治世をどう評価するか

続きを読む

読み切り連作だったこのシリーズも、この巻はついに1巻1話である。年に一度の金魚屋古書店の目録作成を主たる流れに置きつつ、気負い過ぎて万引きまでした女性エリート会社員や、文筆家を目指す眼鏡の笹山氏(もちろん、目も描かれている)や、貸本屋「ねこま

続きを読む

<2024年04月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930