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2023年10月15日09:06

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読書紹介2335●「裁きの曠野」

●「裁きの曠野」 C・j・ボックス著 講談社文庫 12年版 743円
 猟区管理官シリーズ5。本書のテーマは、「4代の呪い」である。1800年代にワイオミング州に入植し、開拓して牧場主となったスカーレット家。曾祖父、祖父の代で近隣の土地を買収し、広大な牧場主となったスカーレット家は、スリープ郡の基となる一家だった。
 その当主であるオパール・スカーレット(女性)が姿を消した。露わになったのは、莫大な遺産をめぐって憎悪を募らせる息子たち。長男は、上院議員のアーレン。次男は、世界を駆け回る冒険ツアーを企画運営するハンク。三男は、趣味に生き母親思いの大男ワイアット。
 オパールは、長男と次男を互いに憎しみあわせ(母親への愛を競わせ)るような育て方をしていた。それはなんとも奇妙な一家であった。この一家によって、スリープ郡は、アーレン派とハンク派で二分されていた。中間派は許されないのだ。
 主人公のジョーのところに、ハンクの違法行為の証拠ーー「違法に狩られた動物の剥製が家に飾ってある」との通報があった。ジョーが調べに行くと、ゲートの前で門前払いにあう。家宅捜索の命令書を判事に要請すると、判事が拒否。前代未聞の出来事であった。判事は、ハンク派だったのである。ハンクの違法行為を通報したのはアーレンだった。アーレンは、狩猟漁業局の理事に選ばれていて、ジョーに調査を突っつくのであった。
 一方、ジョーとジョーの家族を狙う殺人犯ジョンがスリープ郡にやって来た。殺人犯は、ジョー・ピケット家の里子だったエイプリルの実の父親だった。最近、刑務所から出所したばかりだった。エイプリルはシリーズ2で、反政府主義者のキャンプにいたところを、森林局の女性キャリアとFBIの暴力的手段で死亡してしまった。殺人犯は、ジョーが娘を死なせたと逆恨みし、復讐に来たのだ。
 本書では、この殺人犯の暴走ぶりが描かれる。ワイオミング州に入るまでも、出会ったことが理由でカーボーイを射殺したり、車を盗むなどを繰り返していた。FBIがその行方を捜索していて、ジョーにもその照会があった。
 ということで、スカーレット家の騒動と殺人犯の暗躍が結びついて、スリープ郡は大混乱に陥っていくのである。その中で、家族を守るために懸命に力を尽くすジョー。そこに盟友のネイトが現れ、攫われたジョーの長女シェリダン(13)と次女ルーシー(8)、ハンクの娘(8)の救出劇が豪雨のなかで始まることに・・・。

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