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2023年07月16日08:51

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読書紹介2313●「街の狩人ーー生物学探偵セオ・クレイ2」 

●「街の狩人ーー生物学探偵セオ・クレイ2」 アンドリュー・メイン著 早川書房 20年版 940円
 シリーズ第2弾。今回のセオは、前回のような生白い科学者然とした人物ではない。護身術を習得し、警察の不当逮捕に対抗するため手錠の鍵の解除も身に着けている。
 前回の事件の影響で、セオは大学教授を辞め〈オープンスカイAI〉という国防情報局の下請け会社の研究員となった。オープンスカイは、サーバー・ファームという見たい場所の3ーDモデルを実際に造れるほど綿密なデータまで備えている。そこでテロリストを見つけるのが、セオの仕事だ。セオの連続殺人犯の行動パターンを見つけるために開発したソフト(MAAT)が、高く評価されスカウトされたのだ。
 じつは捕食者のパターンを見つけるように設計されたMAATの改良版といえるブレドックス(AI) を、セオは完成させていた。そのブレドックスには、科学者の思考方法が組み込まれている。つまり、セオの考え方のパターンが入っているのだ。しかし国防情報局は軍事目的に使うため、テロリストを見つけるのはいいが、そのために巻き添えになる人のことをまったく考慮しないのだ。それが嫌で、セオはブレドックスのことを内緒にしている。
 国防情報局の担当者は、セオのために「研究所の設立」を約束さえする。そんなセオの優遇に嫉妬したオープンスカイの社長が、セオの弱点を嗅ぎまわったことから、セオは喧嘩別れする。そのセオの自宅に、「行方不明になった息子を探して欲しい」という父親が押しかける。喧嘩別れの直後とあって、セオはついつい引き受けてしまったのだ。
 その事件というのが、6歳から14歳までの少年を狙った事件だった。担当した刑事に取材したセオは、該当者が崩壊家庭の子供で証拠や証言が集めづらいという、扱いにくい案件ばかりであることを知らされる。資料の半分は、不法入国者が大勢いる世帯の子供の事件だった。
 やがて、犯人から逃れた青年・アーティス(18)を見つける。9歳の時にトイ・マン(おもちゃ男)という黒人のサンタクロースのような男が、白いキャデラックに乗って「いい子にプレゼントをあげる」言ったのだ。その男にアーティスは胸をX印に切り裂かれた。そのアーティスの証言を、警察は嘘と決めつけ取り上げようともしなかった。
 アーティスの証言から、セオはトイ・マンの秘密基地を見つける。今はそこに老女が住んでいて、犬が動物の骨を掘り返すと10回も警察に通報していたが、調べもされていなかった。セオはその骨を見て青ざめる。人骨であると警察に通報。やがて、17体の子供の死骸が発掘され、大騒ぎとなる。
 この人骨の調査の過程で、セオは警察に拘留される。また犯人はブラジルのギャングと発表され、事件はあいまいな幕引きが図られる。釈放されたセオは、犯人のパターン追跡のなかで、子供たちが「新月の夜」に犠牲になっていること、被害者は「緑の目」あるいは色素欠乏症の目(西アフリカでは悪魔とおそれられていた)を持つ者であることに気づく。背後に宗教的な儀式があるのだ。
 この一連の追跡劇のなかで、セオは自分にも連続殺人犯の捕食者の遺伝子があることに気づく。つまり「狩り」の遺伝子である。犯人を追い詰めていくセオ。やがてセオの前に立ちはだかったのは、国土安全保障省という国家の情報機関だった。セオは捉えられ、私刑が・・・。セオの運命は?、という物語。

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