mixiユーザー(id:2810648)

2023年04月26日11:03

128 view

読書紹介2292●「ヘルたん2ーーヘルパー探偵とマドンナの帰還」

●「ヘルたん2ーーヘルパー探偵とマドンナの帰還」 愛川晶著 中央公論新社 14年版 2000円
 シリーズ第2弾。主人公の神原淳(20)は、元引きこもりの新米ヘルパー。両親の夜逃げで、仙台から浅草にやってきた。叔父の紹介で、浅草寺裏に探偵事務所を開いていた成瀬先生(81)の離れに無料で下宿させてもらっている。成瀬先生は、脳梗塞で引退した名探偵で、その卓越した推理力は健在だった。しかしアルツハイマー病がわかり、記憶が突然飛んだりするようになるのだった。
 本書は、介護と認知症がテーマ。今回は、「レビー小体型認知症」のことが詳しく説明されている。
 淳がヘルパーになったのは、高校で2年上の憧れの葉月先輩(22)に浅草で出会ったから。葉月が浅草でヘルパーをしていたのには、理由があった。1つは、失踪した父を探すこと。2つは、母の実母(祖母)が浅草で芸者をしていたと聞いて、祖母を探すためだった。
 シリーズ1では、この父親の介護を淳が担当。葉月が知って駆けつけた直後に、父はガンで死亡。父親を見つけたら殺そうとしていた葉月は、以来、浅草から姿を消してしまったのだ。葉月は、家族を捨てた父を恨んでいたのだ。
 淳がいま担当している大橋竹子(73)は、アルツハイマー病だ。元浅草の人気芸者で、筋金入りの江戸っ子。この竹子に、「傾聴ボランティア」をして「一代記」を書きたいと手を挙げたのが、淳の友人・未来(18)だ。
 本書では、この傾聴ボランティアで竹子が語った昔の浅草や色街のことが見所(読み所)となっている。竹子の話は辻褄が合わなかったり、飛んでいたりと、わからない部分がたくさんあったが、成瀬先生は、その豊富な知識で見事に全体像を解説してくれる。
 淳は、成瀬先生の解説によってあることに気づく。やがて、葉月が浅草に一時帰還。思わぬ事態が発生するのでありました。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年04月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30