●「鳩笛草」 宮部みゆき著 光文社文庫 11年版 648円
鳩笛草とは、りんどうに似た野草のこと。主人公がかってに付けた名。本書は、所轄署で唯一女で刑事をやっている貴子が主人公。所轄署では、様々な事件が同時進行している。地域課にいた貴子は、実績を重ねて刑事に抜擢された。それは、貴子が秘密の武器をもっていたからだ。それは、「透視」能力であった。
事件関係者や事件現場の事物に触れると、その人物が思っていることや事物に関係ある人物の特徴が「透視」できるのだ。その能力は子供時代からあるもので、余分なものを「見ないよう」抑制する訓練を積んできたものだった。
ところが、時々「何も感じなくなっている」ことに貴子は気づいた。透視能力がなくなってきたのだ。そして同時に、貴子の身体にも異変が起こっていた。急な立ちくらみや意識不明、顔半分の感覚がなくなってきたのだ。
貴子は、自分の能力の消滅の予感に震えた。その時は、刑事を辞める時だからだ。ということで、能力喪失に恐れ慄く1人の特殊能力者の物語でありました。
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