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2019年11月07日15:05

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読書紹介1867●「てらこや青義堂」

●「てらこや青義堂」 今村翔吾著 小学館 19年版 1600円
 寺子屋の師匠は、元公儀隠密の十蔵。命を受ければどんな遠国へも赴き、切り崩しや流言、暗殺などを行う伊賀の陰忍であった。10代の半ばで既に凄腕の陰忍となったが、30歳になって自分の仕事が「何も生み出していない」ことに虚しくなり、引退した。その際、妻と離縁したのだ。それは、公儀隠密の妻子をねらった復讐が相次いでいたからだ。
 ということで、本書では寺子屋の教え子たちの難儀を、師である十蔵が忍びの術で救う物語が4編。やがて、江戸の裏で暗躍する者たちが、各地の忍びの者や公儀に裏切られて離れた元隠密たちであることが明らかになる。
 ここに幕府を恨む忍者たちが組織され、幕府転覆を図る。まず、伊賀忍群を束ねる十蔵の兄をからめ捕るため、十蔵を囮にすることが考えられた。その十蔵を捕えるために、離縁した妻・睦月を囮にするため、忍者たちは睦月の里に向かっていた。それを知らされた十蔵(教え子たち4人と伊勢参りの途中だった)は、1人で睦月の里へと向かい忍者群と渡り合うが、捕えられてしまう。
 そこに、教え子4人が師匠を救おうと駆けつけるのだったが・・・。という物語。寺子屋の師匠をしている十蔵の姿が、なんとも幸せそうに描かれているのが本書。この師弟の交わりの楽しさを、本書で味わったのでありました。

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