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2019年04月28日12:24

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読書紹介1814●「二千七百の夏と冬 上」

●「二千七百の夏と冬 上」 萩原浩著 双葉社 14年版 1300円
 2011年の現在の、地方支局新聞の記者・香椰は、古人骨の発掘現場を取材していた。その人骨は、2700年前の縄文人の人骨であった。年は16~17歳の男で、手には稲を握っていたのだ。
 本書は、香椰の現在の活動と古人骨の縄文人・ウルクの物語が交差しながら描く構成ですすんでいく。つまり、縄文人の生活ー食べ物や通過儀礼(犬歯を抜く)や狩りの方法などが描かれる。香椰の章では、縄文時代の解説が描かれるのだ。
 縄文時代のことを調べる香椰であったが、3.11の震災の後とあって、香椰が本当に知りたかったのは、縄文時代のことというより、これからの時代だった。何千年も何万年も前から、綿々と生き延びてきた自分たちは、これからも大丈夫という証が欲しかったのだ。
 ところで縄文時代の終わりとは、列島で本格的な農耕=水田稲作が始まった時だ。しかし、水田稲作ではなく陸稲が栽培されていた1番古い痕跡は、「6000年前まで遡れる」と本書では紹介している。
 ウルクの章では、クライマックスは羆(ひぐま)が現れるところだ。これは、ウルクが遭遇し、額に石刃を叩きつけたのだが、その話を村の者は誰も信じようとしなかった。そればかりか、ウルクが禁じられた「南の森」に越境したとして、ウルクは村を追放されることとなる。
 ということで、上巻ではウルクが村を旅立つところで終わったのでした。

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