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2017年10月03日12:36

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読書紹介1675・「つらつら椿ーー浜藻歌仙帖」

●「つらつら椿ーー浜藻歌仙帖」 別所真紀子著 新人物往来社 01年版 1900円
 浜藻は、江戸近在の大谷村の名主の跡取り娘。婿を貰って、夫に名主を継いでもらったが子がない。そんなこともあってか、幼い頃から父親に導かれて始めていた俳諧の道でメキメキ力をつけた。師匠の成美が卒中で倒れ、浜藻がその後を継いで30半ば過ぎで宗匠となったが、業俳(宗匠を仕事にする)ではないので、各派の句人と自由に交流している。
 浜藻のもとに集まる連衆には、元豪商(隠居している)から16〜17歳の女の子まで、職業も男女の差もなく固い絆で結ばれていた。本書はそんな連衆仲間が、互いに助けあっていく人情モノである。
 ある日、連衆の1人である志鏡(23歳の河東節の師匠)の元恋人が石川島を抜け出し、獲りもの騒ぎとなる。その最中、不忍の池に飛びこんだ志鏡を同心の忍坂が助けだすが、志鏡は高熱を出して寝込んでしまった。
 それを、連衆の仲間が入替り立ち替わり看護するのだが、その姿を見た忍坂が浜藻の連衆に敬服して仲間入りするのだ。その時に、忍坂に語って聞かせる浜藻の俳諧論が「連衆の皆さまと、かりそめの世を作りあげる・・・、此の世ではそれぞれ身分や役目を負って暮らしている者が、一座のうちでは此の世を捨て、身分も役目も捨て、かりそめの世の中にいろいろな人間や物に成り代わって生きてみる」というもの。
 俳句というものは、「5・7・5」の句のことだと思っていたら、発句に対して付句したりと様々な約束事(式目という)があったことに驚いてしまった。そんな様子が本書では描かれていて、とても楽しい気分になったのでした。


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