●「亜玖夢博士の経済入門」 橘玲著 文芸春秋 07年版 1571円
亜玖夢博士70歳は、世界の諸般の学問の精髄を極め、その学識のすべてを傾けて「衆生の救済」を決意し、無料相談所として「亜玖夢研究所」を設けた。それは新宿歌舞伎町のピンサロとラブホテルに挟まれた古いビルの4階にあった。
この相談所には、「相談無料、地獄を見たら亜玖夢へ」とのビラを見た「社会のクズ」がふらふらと訪れてくる。本書は、その相談者に「行動経済学」(第1講)、「囚人のジレンマ」(第2講)、「ネットワーク経済学」(第3講)、「社会心理学」(第4講)、「ゲーデルの不完全性定理」(第5講)を亜玖夢博士が解き明かす、という小説。
本書では、サラ金からの借金の踏み倒し方、小学生のイジメのネットワーク、稀少水のネズミ講の洗脳と詐欺の仕組み、株取引の儲けと損出のカラクリなどが学問として解明されている。ひと言で云えば、ブラックユーモア小説であった。
そのあまりの荒唐無稽な物語に、可笑しくてたまらなくなる本でした。本当に面白い。
ログインしてコメントを確認・投稿する